yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

オーレル・ニコレ『フルート名演集』(1969)。とりわけブーレーズ21才の作品。シェーンベルクの影響のもと12音列書法での胸のすくような疾走と煌めき、そして躍動・・・輝いています、いいものです。

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Pierre Boulez, Sonatine pour flûte et piano (part 1)

            

イメージ 2さて、きょうはフルート奏者、とりわけ現代音楽作品の名手として知られた、オーレル・ニコレ(Aurèle Nicolet, 1926 - )の『名演集』(1969)。わが国の松平頼則、および福島和夫、両作曲家の独奏フルートのための作品が収録されているので、喜んで手にしたレコードと思われるが。やはり両作品とも余韻はズバリ日本だ。尺八を有する国であるとの思いのしからしむる幽そけき響きが当然の如くに聴こえてくる。その幾分のエキゾティズムに、日本的余情を代表するものとして演奏機会を得ることとなるのだろう。今日のアルバムの奏者≪オーレル・ニコレの70歳記念コンサートのために作曲された≫(WIKI)武満徹の遺作となったエア(Air)と聴き比べての、それぞれの≪日本≫を感じるのもいい鑑賞機会かもしれない。
だけれど、このアルバムのいちばん興味を引くのは何といっても、一昨日だったかに京都賞思想・芸術部門を受賞したピエール・ブーレーズ【「独創的な観点から受賞者を選んでいる京都賞を授かることはとてもうれしく思う。その独創性とは異なる背景を持つ文化同士を分断するのではなく、統合する視点をもっている点。また、京都賞が音楽を思想の隣人として取り扱っていることに最大の敬意を表したい」(ブーレーズ)】
若き21才のときの瑞々しく清新溌剌とした「フルートとピアノのためのソナティナ」(1946)を聴くことができることだろう。シェーンベルクの影響のもと12音列書法での胸のすくような疾走と煌めき、そして躍動・・・輝いています、いいものです。




オーレル・ニコレ Aurèle Nicolet 『Flöte名演集』(1969)

Tracklist:
A1.フルートとピアノのためのソナティナSonatine Für Flöte Und Klavier(1946)
A2.ソマクシャ蘇莫者>Somaksha(1961)
Written-By -松平頼則Yoritsuné Matsudaira

A3.独奏フルートのための「冥」Mei(1962)
Written-By -福島和夫Kazuo Fukushima

B1.Paraphrase Für Flöte Und Klavier(1968)
Written-By - ヴィッテンバッハJürg Wyttenbach

B2.Sequenza I(1958)
Written-By - ベリオLuciano Berio


Credits:
Piano - Jürg Wyttenbach (tracks: A1, B1)