yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

ケント・カーター『BEAUVAIS CATHEDRAL』(1976)。なまじの現代音楽よりおもしろい。ともかく音楽を愉しみ、かつ生きているといった、そのさまが伝わって来るようなのだ。

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イメージ 2きょうは、アメリカの、というより早くからヨーロッパを舞台にフリージャズ系のベーシストとして活躍してきた、ケント・カーターkent carter(1939-)のアルバム『BEAUVAIS CATHEDRAL』(1976)。共演者としては、デレク・ベイリーエヴァン・パーカー、ジョン・スティーブンスやその他ほとんどのヨーロッパの精鋭達と相まみえ、多くのパフォーマンスドキュメントを残している。加古隆もパリ時代にユニットを組んで活動しており、また、わが国のトリオレーベルでアルバムリリースしている。とりわけスティーヴ・レイシーとの長期に亘る共演活動によって、一層そのフリーへのスタンスを明示しているといえようか。ほとんどが、フリーインプロであり、非商業主義的な演奏活動に身をおいていた所為か、その認知は一般化されていないようだ。だが、この人は、本物だ。そのことは、きょう取り上げたこのアルバムで了解できるだろう。このアルバムはベースソロというより【Kent Carter, cello, double bass, radio, drum kit; Phillip Pochon, cello (track 6); Michala Marcus, flute (track 9); 】とクレジットされているように、ソロおよび、デュオ(ラジオ音源も含む)構成になるものだ。ジャズ感性のしなやかさと遊びココロ、それに現代音楽的な音作りを主調とするパフォーマンスといえるだろうか。なまじの現代音楽よりおもしろい。音楽に潤いがある。ともかく音楽を愉しみ、かつ生きているといった、そのさまが伝わって来るようなのだ。ソロ、およびデュオといったアルバムにありがちな地味な印象を覆すほどに、最初から最後まで聴くものを飽きさせず良くできたアルバムだ。機会があれば是非聴いて欲しいアルバムだし、志とワザを併せ持つジャズプレイヤーのひとりだといい募っておこう。スタンスが現代音楽拠りなのがなによりいい(わたしにとっては)。それが魅力だ。



KENT CARTER 『BEAUVAIS CATHEDRAL』(EMANEM 1976)
EMANEM 4061

KENT CARTER cello, double bass, violin, viola, melodica, radio, drum kit, piano strings
plus:
PHILLIP POCHON cello (on 6)
MICHALA MARCUS flute (on 9)
RICHARD MARECHIN piano (on 12)

1 - CELLO SOLO 1: PINCH - cello - 9:55
2 - DANCE TWO: RHAPSODY - double bass & 2 cellos - 2:50
3 - PLAY TIME - radio & cello - 3:14
4 - STRETCH - melodica, two cellos & double bass - 1:38
5 - BASS TIME FOR MAX - double bass - 0:57
6 - CHATEAU DE MAIGNELAY - double bass & 2 cellos - 3:58
7 - OTHER FINGERS - double bass - 2:56
8 - CELLO SOLO 2: BEGINNINGS - cello - 7:49
9 - MICHALA DANCE - double bass, flute, melodica & cello - 3:47
10 - BASS SUITE No 1: FINGERS - double bass - 11:49
11 - BEAUVAIS CATHEDRAL - radio, piano strings, double bass & 5 cellos - 4:18

All analogue recordings made in the music room of the Chateau de Maignelay
Daniel Deshay recorded most of the June items, Kent Carter the rest.
1: 1974 March
2 - 7, 9, 11: 1974 June
8, 10: 1974 December or 1975 January
1 - 11 originally issued in 1976 as Emanem LP 3306