yuki-midorinomoriの日記

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ベッツイ・ジョラス、弦楽四重奏『Quatour Ⅲ(9etude)』(1973)、レジャレン・ヒラーの『Quartet no.6 for strings』(1972)。

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Jolas- String Quartet No. 3 (1/2)

             

きょうは、アメリカの、現代音楽を専門とするレーベルCRI(Composer Recordings Inc.)から出されたアルバム。このCRIは1954年に、コロンビア大学で教鞭をとっていた二人の作曲家オットー・ルーニングOtto Luening、1900 - 1996)と、ダグラス・ムーアDouglas Stuart Moore、1893 - 1969)によって創設されたレーベルのよし。いわば、主にアメリカの現代音楽の動向をピンキリで、知るには恰好の音源だった。で、きょうの一枚もそうし意味合いのものといえる。フランス人ではあるけれど、青年期をアメリカで育ち、のち生国フランスへと戻り作曲活動をしているという女性作曲家ベッツイ・ジョラスBetsy Jolas(1926-)と、もと化学者であり、世界で初めてといわれている、作曲過程にコンピューターを利用してその名を残しているレジャレン・ヒラーの二人の弦楽四重奏作品の収録されたレコード。以前拙ブログにて≪ベッツイ・ジョラスBetsy Jolas 『STANCES』(1978)ほか。≪洗練された詩的感情≫、音の緊密な処理、艶やかで煌めく多彩な音色展開。≫として投稿したけれど、基本的にこうした音作りはこの弦楽四重奏『Quatour Ⅲ(9etude)』(1973)でも聴くことができる。アルバン・ベルク風といって間違いのないことと思われる。しなやさと品性と云っておこうか。もうひとつのレジャレン・ヒラーの『Quartet no.6 for strings』(1972)は、変り種の作曲家の名に偽りなく、まことに風変わりな曲趣をもつ作品だ。前(ピアノソナタ作品)も言ったけれど、なにか変と言った言葉が必ず胸をよぎるのだ。べつに特殊奏法などで小うるさいといったことではないのだけれど。感性が異質といったら良いのだろうか。元化学者の感性ゆえと短絡してのことではないと思うが。たぶん、美意識の根底にある世界を見る目、アイデアが通念では了解しがたいものであるのかも知れない。




ベッツイ・ジョラスBetsy Jolas、弦楽四重奏『Quatour Ⅲ(9etude)』(1973)、レジャレン・ヒラーLejaren Hillerの『Quartet no.6 for strings』(1972)。



Hiller- String Quartet No. 6 (1/3)



ベッツイ・ジョラス、レジャレン・ヒラー関連投稿記事――

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/56864104.html ベッツイ・ジョラスBetsy Jolas 『STANCES』(1978)ほか。≪洗練された詩的感情≫、音の緊密な処理、艶やかで煌めく多彩な音色展開。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/59747042.htmlヤニス・クセナキス『HERMA』(1960-61)ほか。音楽と数理 の邂逅がもたらすランダムな無秩序の放つ喩えようもない超越した美しさ。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/60239318.html ジルベール・アミ「レシタティフ・アリアと変奏」、ベッツイ・ジョラス「12声のソナタ 」。人間の声の美しさ、その音色の彩りを見事に歌い上げている二作品。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/57133086.html レジャレン・ヒラー 「Twelve-tone variations for piano Opus 17」(1954)ほか。世界で最初にコンピュータを(作曲過程に)使った作曲家。奇妙で骨太いオモシロさ。