yuki-midorinomoriの日記

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レオ・キュイパース]『Zeeland Suite』(BV HAAST Records・1978)。レオ・キュイパースのピアノとウィレム・ブロイカーのサックスのインタープレイは感心するほどの出来だ。

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Leo Cuypers
イメージ 2本当に惚れ惚れする力強いサックスプレイのウィレム・ブロイカWillem Breuker。なんでフリーから足を洗ったんだろう。きょう此処に取り上げるピアノのレオ・キュイパースとのインタープレイの見事さを聴くにつれそう思う。ICPの起ち上げ創設に参画しながらはやばやと立ち去り大衆迎合的コンセプトのもと「Willem Breuker Kollektief」なるグループを創設し活動にいたる。初期のウィレム・ブロイカー(ハンベニンクとのデュオNew Acoustic Swing Duo」(1967)])の先鋭と余裕、遊びにほれ込んでいたこともあり、落胆の思い強く、それゆえ以後の彼の音作りからは遠ざかっていった。当初幾枚かの音盤を追って行きはしたが・・・。ところで、未だにヨーロッパではハンス・アイスラー(Hanns Eisler, 1898 - 1962)や、クルト・ユリアン・ヴァイル(Kurt Julian Weill、1900 - 1950)などの社会主義リアリズムの芸術は根強く支持されているようで、そうしたことと、ブロイカーなどの音楽の志向性はパラレルなことなのだろう。我が日本ではそうした社会主義リアリズム芸術などもはや顧みられることすらないようなのに。(と私は思っているのだけれど)そもそも社会民主主義の政治的理念が最初に唱えられたのはヨーロッパであることを思えば、<未だに>などといって済ませてしまう我がお気楽自体のほうが問題なのかも知れない。どうしても大衆啓蒙、大衆迎合などと社会主義リアリズム芸術を否定的に受けとってしまうのだ。かつて、大衆蔑視(無知蒙昧の民衆という規定)ということばが社会主義リアリズム芸術の問題として語られていたと記憶するが・・・。音楽に啓蒙とか、迎合とか、分かりやすさとか・・・そんなことが必要か?というわけだった。
イメージ 3そんなことはともかく、このアルバムでのレオ・キュイパースのピアノとウィレム・ブロイカーのサックスのインタープレイは感心するほどの出来だ。だのに動画サイトでのウィレム・ブロイカーのグループパフォーマンスは面白いものではない。



レオ・キュイパースLeo Cuypers『Zeeland Suite』(BV HAAST Records・1978)

Tracklist:
A1.Impromptu 2:04
A2.Something Else 4:02
A3.Joplin 4:12
A4.Two Bass Shit 4:18
A5.Bach II And Bach I 5:32
B1.No Plooi At All Blues 5:50
B2.Bob's Lick 4:40
B3.Memoires 4:07
B4.Calypsooi 3:08

Credits:
Composed By, Piano - Leo Cuypers
Double Bass - Arjen Gorter , Harry Miller
Drums - Martin Van Duynhoven
Saxophone [Soprano, Alto, Baritone] - Bob Driessen
Saxophone [Soprano, Alto, Tenor], Clarinet [Bass] - Willem Breuker
Trombone - Willem Van Manen



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