yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

ブルーノ・マデルナ『オーボエ協奏曲第1番、第2番、第3番』。繊細多彩豊潤、音の行く末にシカと聞き耳立てる趣。絶妙なバランス感覚で音が丁寧に紡ぎ編みあげられてゆく。そのワザ、玄妙といっていい。

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Bruno Maderna: Concerto per Oboe e Orchestra No.1 (1962) Prima parte

           

またまたネット図書館にて現代音楽アルバムを発見。FMから流れていて印象深かった曲が番組検索でモーツァルトの「オーボエ協奏曲 ハ長調 K.314」であることが分かり、さっそくもう一度とばかりにネット図書館にあたったけれど、所蔵アルバムのすべてが予約および貸し出し済みとなっていた。その時だった。検索一覧に「マデルナ、オーボエ協奏曲」が目にとまった。このイタリアの現代音楽作曲家は、近現代作品の演奏指揮でも貢献しているので、それかなと詳細を覗いたところ、さにあらず、自身のオーボエのための3つの協奏曲作品が収録されたアルバムだったのだ。現代音楽項目になくて、こんなところにお隠れになっていたのだ。ラッキーだった。私の好きな作曲家のひとりだったのだから。戦後のイタリア作曲家のビッグネイムと云えば、ご存知の通りルイジ・ノーノであり、ルチャーノ・ベリオであり、そしてこのブルーノ・マデルナ(Bruno Maderna, 1920 - 1973)だ(そうそう、それにシルヴァーノ・ブソッティも忘れてはいけない)。世代的には先の戦後の寵児たちよりもいくぶん年上で兄貴格であり、その通りの主導的力を発揮しイタリアのみならず、ヨーロッパの現代音楽の動向推進に寄与していたと言える。けれど、53才という惜しまれての逝去退出だった。いちぶでは後半マンネリに堕ちたとの評価貶められていると聞くけれど、なかなかどうして、この音色感覚は並みのものではない。いイメージ 2や、すばらしいのだ。まさしく≪音響作りに関するマデルナの冴えた非凡な感覚≫(解説・長木誠司)を味わうことの出来る「オーボエ協奏曲」であり、その3作品といえる。現代音楽によくある特殊奏法のエキセントリックでフリーキーな響きの世界(これはこれで存在価値はあるのだけれど)ではなく、繊細多彩豊潤、音の行く末にシカと聞き耳立てる趣と云えようか。絶妙なバランス感覚で音がていねいに紡ぎ編みあげられてゆく。フランスのスペクトル楽派の世界とも違い古典的な美しさ、優美さ、豊かささえ備えている。そのワザ、玄妙といっていい。

写真:Nuria Schoenberg, Luigi Nono, Bruno Maderna(right)  

ブルーノ・マデルナ Bruno Maderna『オーボエ協奏曲第1番、第2番、第3番 The Oboe Concertos』

Tracklist:
1. オーボエ協奏曲第3番Oboe Concerto No. 3 (1973) 24:25
2. オーボエ協奏曲第1番Oboe Concerto No. 1(1962-63) 23:43
3. オーボエ協奏曲第2番Oboe Concerto No. 2 (1967) 20:29

Credits:
Composed By - Bruno Maderna
Conductor - Gary Bertini
Oboe - Heinz Holliger
Orchestra - Kölner Rundfunk-Sinfonie-Orchester*

Notes:
Recorded at Philharmonie, Köln, Germany, 3/1993 in co-production with Westdeutscher Rundfunk, Köln.
Among the 3 Concertos (composed in 1962-63, 1967 and 1973), only No. 3 requires the soloist to play the standard oboe throughout the whole score; No. 1 requires also oboe d'amore and cor anglais, and No. 2 requires also oboe d'amore and musette (a sort of piccolo oboe).



ブルーノ・マデルナ関連投稿記事――

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/59390400.html 『イタリア現代音楽作品集』(1978)。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/56987256.html ガンサー・シュラー「THE INVENZIONI」ほかとブルーノ・マデルナ「GIARDINO RELIGIOSO」 (1972)。音列を踏まえた音色的にも多彩で伸びやかな現代音楽。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/54145620.html ブルーノ・マデルナのザルツブルク音楽祭’73でのドキュメントLP2枚組み『Ein Document』。骨格の確かさと自在多彩な音色で陰影深く奏でられる音楽世界。真正の作曲家ルトスワフスキを聴く。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/52029572.html ブルーノ・マデルナ『Aura (管弦楽のための)アウラ(気)」(1972)ほか。「音象の朦朧とした揺らぎがことのほか余韻をもって美しく印象深くさせる。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/46684527.html 過剰と空疎からは無縁な十二音音楽の旋律の美しさルイージ・ダッラピッコラとふくよかで艶やかなその豊かな音色のブルーノ・マデルナ。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/43213668.html 美しい響き、音色に現代曲であることを忘れさせるほどの、いまや古典の域に入った『NONO,MADERUNA,BERIO』初期作品集。



Bruno Maderna: Concerto per Oboe e Orchestra No.3 (1973) Prima parte