yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

ハワード・ライリー『SYNOPSIS』(Incus 13・1973)。フリージャズというより、現代音楽畑の即興演奏にちかい。いずれにせよフリージャズ史に刻み込まれる名盤といえよう。

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Howard Riley Trio - Quantum:Howard Riley - piano、Barry Guy - bass、Tony Oxley - percussion, electronics、recorded October 19,1973

       

ほぼ3ヶ月前に ≪ハワード・ライリー『FLIGHT』(1971)。燃えはするのだけれど、あくまで理知的に振る舞う。あたかも、70年代の佐藤允彦を思わすようなシャープな熱さだ。≫とタイトルし投稿した。そのアルバムと同じメンバーのトリオ構成で2年後の73年に収録されたのが、このハワード・ライリーHOWARD RILEYトリオの『SYNOPSIS』(Incus 13)。パフォーマンスの質、出来栄えはこちらの方がはるかに良い。フリージャズというより、現代音楽畑の即興演奏(感覚的な印象の差に過ぎないですが)にちかい。本来そこを活動の場とするベースのバリー・ガイBARRY GUYの存在あるゆえなのかどうかは分からないが・・・。このベースのつくり出す磁場はすごいです。空間が引き締まり起っている。それと、パーカッションのトニー・オックスレイTONY OXLEYがあやつるライヴ・エレクトロニクスLive Electronicsと、アンプリファイドされたパーカッションの効果が秀逸だ。この、音響へのセンシビリティー。こうした二人のシビアーな空間造形力がハワード・ライリーのインテリジェントなピアノに絡み一層の音響空間の濃密な広がりと推進力を倍加する。これはみごとだ。傑作だ。デレク・ベイリーの「イスクラ1903 ISKRA 1903」も見事なフリーパフォーマンスだったけれど、それを<冷熱>と評すれば、こちらはいくぶん<温熱>のそれといえるのかも。体温のぬくもりはある。いずれにせよフリージャズ史に刻み込まれる名盤といえよう。




ハワード・ライリー HOWARD RILEY『SYNOPSIS』(Incus 13・1973)

HOWARD RILEY piano
BARRY GUY double bass & bass guitar
TONY OXLEY percussion & live electronics
(Both Guy & Oxley used pedal-controlled amplification)

A-1. MANDREL - 12:56
A-2. SIRENS - 7:57
B-1 . QUANTUM - 13.42
B-2 . INGOT - 12:55


※参考、現代音楽畑の即興演奏――

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/58534560.html イタリアの即興演奏グループ<ヌーヴァ・コンソナンツァ>『Improvisationen』(1969)。ひじょうに熟達の落ち着いたインテリジェントなコレクティヴインプロヴィゼーション


バリー・ガイ、ハワード・ライリー、関連投稿記事――

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/60956698.html ハワード・ライリー『FLIGHT』(1971)。燃えはするのだけれど、あくまで理知的に振る舞う。あたかも、70年代の佐藤允彦を思わすようなシャープな熱さだ。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/60585601.html バリー・ガイ、ハワード・ライリー、フィル・ウォシュマン『Improvisations are forever now』(1977)。鋼鉄質な音響世界に脳天痺れることだろう。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/60082749.html ハワード・ライリー『トロント・コンサート』(1977)。固有のジャズであって何らおかしくもない。インテリジェントにイギリスジャズを突っ切ればイイノダ。すばらしくパッションに満ちた入魂のソロパフォーマン

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/56780002.html イギリス・アヴァンギャルド・フリージャズの重要メンバーの一人、ベースのバリー・ガイのソロアルバム『Statements Ⅴ-ⅩⅠ for Double bass and violone』(1976)。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/53829134.html ハワード・ライリートリオ『THE DAY WILL COME』(1970)。イギリスのインテリジェントな統御された品性あるインプロヴァイズドジャズ。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/31404405.html 冴え冴えと<サビ>るコラボレーション、トニー・オックスレイの 『ICHNOS』

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/23861064.html 鋭く研ぎ澄ました感性で音を構築するトニー・オックスレイ

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/23456703.html 内に向かう洗練された音楽性豊かなイギリス・ISKRAのフリージャズ

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/22601816.html 煌めくThe London jazz composers orchestraのコレクティヴフリージャズ


Howard Riley Trio - Cirrus Live French TV 1972 (free jazz)