yuki-midorinomoriの日記

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『甲斐道雄フルートリサイタル』(1978)。甚だしい意匠の違いにもかかわらず、どこかしら<日本的な情趣>、余情を感じさせるものばかりだ。そは響く笛の音色の幽そけき日本の面影。

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Brilliancy for flute and piano:Matsudaira Yoriaki

           
           残念ながらMIDI音源です。フルートがあればねえ・・・。

甲斐道雄フルートリサイタル』(1978)。5人の作曲家のフルート作品がつめられたアルバム。現代音楽作品だから当然のことながら各々作風の違い甚だしく、どうしたものやら・・・。我がレコード棚に未投稿で残されたアルバムのほとんどはこうした類のオムニバスものばかりとなってきている。難儀ではある。

「私たちは、そもそも一本のフシまわしを好む単旋律民族であり、日本人の和音感は、たいそう遅れて育った。したがって笛の音楽がことのほか親しまれてきたのかも知れない。昔から笛や尺八が、一般市井人のあいだに趣味としてひろく嗜まれてきたのも、笛の音にきわめて日本的な情趣をかき立てられるのも、笛に対する鋭い感覚と深い愛着が潜在しているからであろう」(解説・上野晃)

たしかに、このアルバムに収められている5つの作品の各々の甚だしい意匠の違いにもかかわらず、どこかしら<日本的な情趣>、余情を感じさせるものばかりだ。これが鼻につくどころか聴き入ってしまうのだ。収録作品すべていい作品ばかりだ。
とりわけ甲斐説宗(このアルバムのフルーティスト甲斐道雄の兄)の「フルートソロのための音楽」(1976)のシンプルさは印象深く、近藤譲先行者の趣だ。またいつもながら高橋悠治の「チット」(1978)もおもしろかった。これはタイの革命詩人チット・プミサクを歌った歌にもとづく曲だそうで、政治、民俗づいていた頃?のもの。

<情趣><余情>と言うからに、そは響く笛の音色の幽そけき日本の面影。そう言いたくなる。現代音楽なのだけれど。




『甲斐道雄フルートリサイタル』(1978)。

A-1.「フルートソロのための音楽」(1976)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%B2%E6%96%90%E8%AA%AC%E5%AE%97 甲斐 説宗(かい せっしゅう、1938 - 1978)

A-2.「フルートとピアノのためのブリリアンシー」(1978)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BE%E5%B9%B3%E9%A0%BC%E6%9A%81 松平頼暁(まつだいら よりあき、1931 - )

A-3.「チット」(1978)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E6%A9%8B%E6%82%A0%E6%B2%BB 高橋 悠治(たかはし ゆうじ、1938 - )

B-1.「フルートソロのための領域」(1978)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B9%AF%E6%B5%85%E8%AD%B2%E4%BA%8C 湯浅 譲二(ゆあさ じょうじ、1929 - )

B-1.「狐王の祭礼」(1975)
http://www.com-mu.jp/staff.htm 坪能 克裕(つぼのう・かつひろ、1947年-)