yuki-midorinomoriの日記

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『和波孝禧・邦人バイオリン作品集』(1978)LP2枚組み。もっともっとこうしたわが邦人の作品はあらゆる機会を得て聴かれるべき。

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HIKA/Toru Takemitsu:Rieko Suzuki,violin

           
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たんに、生来の全盲のヴァイオリニスト和波孝禧(わなみ たかよし、1945 - )のアルバムというより、こうしたハンディキャップを持ちつつも、現代音楽、それもわが国の作曲家の作品に敢然として挑み演奏、LP2枚というヴォリュームでリリースされたということで手にしたのだろう『和波孝禧・邦人バイオリン作品集』(1978)がきょう取り上げるアルバム。きょうに至るも武満徹の「バイオリンとピアノのためのHIKA」以外、(まともに)聴いた記憶がないのだが・・・。みなそれぞれその感性の発露瑞々しく、すばらしい曲、いや演奏ぞろいだ。12音技法で書かれているにもかかわらず入野義朗(いイメージ 2りの よしろう、1921 - 1980)の「バイオリンとピアノのための音楽」の何とリリカルでヒューマニスティックな響きをもつ作品なのだろう。ふだん保守的というイメージで食指伸びなかった團伊玖磨(だん いくま、1924 - 2001)や別宮貞雄(べっく さだお、1922 - )の両作品も、面白いというよりその洗練、確かさに感心した。石井真木(いしい まき、1936 - 2003)のアントン・ウェーベルンばりの冷厳の世界も習作以上の輝きを密度濃く放っていてすばらしい。三善晃(みよし あきら、1933 - )の初期の「バイオリン・ソナタ」。およそ日本人が書いたと思われない垢抜けた抒情性。もちろんフォーレでありフランクをそこに聴くとしても・・・だ。

今日はいい作品たちに出会った。もっともっとこうしたわが邦人の作品はあらゆる機会を得て聴かれるべきと思った。





『和波孝禧・邦人バイオリン作品集』(1978)
http://www.seikaisei.com/violin/wanami/wana_bio.html <和波孝禧というヴァイオリニスト>


ディスク:1
A-1. バイオリン・ソナタ(三善晃) (1954)
A-2. バイオリンとピアノのための音楽(入野義朗)
B-1. バイオリンとピアノのためのHIKA(武満徹) (1966)
B-2. バイオリンとピアノのためのソナチネ(小倉朗) (1960)
B-3. バイオリンとピアノのためのバラード第3番「無明」(中村太郎)(1969)

ディスク:2
A-1. バイオリンとピアノのためのファンタジア(團伊玖磨)
A-2. バイオリン・ソナタ(原博) (1965)
B-1. 4つのバガテル(石井真木) (1961)
B-2. バイオリン・ソナタ第1番(別宮貞雄) (1967)


Sadao Bekku live- japanese suite n. 2 -1° mov.