ハイドン『十字架上のキリストの最後の7つの言葉Hob.XX/1』。管弦楽版。典礼音楽という性格上の緩徐楽章仕立てがことのほかいい・・・私にとっては。
半年ほど前に、90才過ぎてなお啓蒙にいそしむ音楽評論家・吉田秀和の定時FM番組「名曲の楽しみ- ハイドン その音楽と生涯 -」をたまたま耳にして≪モーツァルトか?とラジオから流れていた弦楽四重奏曲は、後でわかったことなのだけれどハイドンの作品だった。・・・ハイドンの『弦楽四重奏曲 作品51 『十字架上のキリストの最後の七つの言葉≫』。≫を投稿した。ところでこのハイドンの「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」はヴァージョンが4つもあるそうで、この弦楽四重奏版と聖書の言葉を唱える声楽の入ったカンタータ版、それに、ピアノ編曲ヴァージョン(監修のみの関与)、そして今日取り上げる管弦楽版。そのうち、本来この管弦楽ヴァージョンがいっとう最初のオリジナルもののよし。これはたんに楽譜出版の物理的不備といった事情をもって認知の遅れを生じさせたのだそだ。ハイドンのあきれるほどの数の交響曲はともかく、今までこの吉田秀和のハイドン啓蒙の番組に触発されて(というも、たまたまタイミングよく耳にする程度であり、それもナガラでしかないのだけれど・・・エアーチェックすると云った根気はもはや失せてしまった。)いままで、この『弦楽四重奏曲 作品51 ≪十字架上のキリストの最後の七つの言葉≫』や『ピアノ三重奏曲』。『ピアノソナタ第2番&第24番&32番&46番』。それに『チェロ協奏曲第2番ニ長調Hob.7b-2、第1番 ハ長調Hob.7b-1ほか』。などを投稿してきた。ハイドンはどちらかといえばパスしてきた作曲家だったので、今になっての新鮮な出会いといったところだ。さてこの最初に手がけられたオーケストラ版の『十字架上のキリストの最後の七つの言葉≫』はじっさいの、教会での典礼音楽として意図され作曲されたものゆえ、したがってというべきか聖書の詞文の声の朗誦との兼ね合いの相乗あって、いっそうの曲趣が際立つと思われるが。
【7つのソナタはその目的上、すべて緩徐楽章である。速度変化に乏しい音楽を延々と続けることは、ハイドンにとっても困難な作業だったが、出来上がった作品には自身も満足し、「初めて音楽を聴く人にも深い感動を与えずにはおかない」と語っている。】(WIKI)
このハイドンの言葉どおり、たしかに感動もたらす宗教曲の名曲のひとつだ。
<十字架上のキリストの最後の七つの言葉> ●「父よ、彼らをおゆるしください。彼らは何をしているのか、わからずにいるのです」(ルカによる福音書第23章34節より) ●「よく言っておくが、あなたはきょう、わたしと一緒にパラダイスにるであろ。」(ルカによる福音書第23章43節より)。 ●「婦人よ、ごらんなさい。これはあなたの子です。」(ヨハネによる福音書第19章26節より)。 ●「わが神、わが神。どうしてわたしをお見捨てになったのですか。」(マタイによる福音書第27章46節より、マルコによる福音書第15章34節より)。 ●「わたしは、渇く。」(ヨハネによる福音書第19章28節より) ●「すべてが終わった。」(ヨハネによる福音書第19章28節より)。 ●「父よ。わたしの霊を御手にゆだねます。」(ルカによる福音書第23章46節より)。
ハイドン『十字架上のキリストの最後の7つの言葉Hob.XX/1』
1. 十字架上のキリストの最後の7つの言葉 Hob.XX/1 序奏:マエストーソ・エド・アダージョ ニ短調
2. ソナタ1 ラルゴ 変ロ長調
3. ソナタ2 グラーヴェ・エ・カンタービレ ハ短調
4. ソナタ3 グラーヴェ ホ長調
5. ソナタ4 ラルゴ へ短調
6. ソナタ5 アダージョ イ長調
7. ソナタ6 レント ト短調
8. ソナタ7 ラルゴ 変ホ長調~地震 プレスト・エ・コン・トゥッタ・ラ・フォルツァ
2. ソナタ1 ラルゴ 変ロ長調
3. ソナタ2 グラーヴェ・エ・カンタービレ ハ短調
4. ソナタ3 グラーヴェ ホ長調
5. ソナタ4 ラルゴ へ短調
6. ソナタ5 アダージョ イ長調
7. ソナタ6 レント ト短調
8. ソナタ7 ラルゴ 変ホ長調~地震 プレスト・エ・コン・トゥッタ・ラ・フォルツァ
Franz Joseph Haydn ~ [2] The Seven Last Words of Christ.Excellent Sound Quality.[Stereo]