yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

佐藤允彦ピアノソロ『アポストロフィー』(1982)。音の豊満さ、ダイナミズム、濁りのないクリアーな美しさ、メリハリのみごとさ、・・・これらを帰結するピアニズムの秀抜はもう感嘆のほかない。

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Alice in Wonderland - Masahiko Sato

           
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【ソロは「ひとりだから気楽だろう」と思われがちだが、実態は大いに違う。45分間を全くのインプロヴァズでソロをするのは、大変難しいことだ。ひとたびイマジネーションが壁に突き当たると、そこから抜け出す手立ては皆無となる。一人でも共演者がいて、互いにインスピレーションをやり取りできる“開かれた”状態と、自分の中に向かってイメージが求心的に回転する“閉じた”状態のソロとの間には大きなギャップが存在するのだ】(解説書・佐藤允彦)

へえ~、こんなの所蔵されていたの・・・と、ネット図書館でたまたま出くわして借り受けた。名手・佐藤允彦のピアノ・ソロアルバム。1982年ドイツはメールスにて行われたジャズ・フェスティヴァルにてのパフォーマンスドキュメント。およそ4年以上まえに≪理知とセンスのバランスが奏でる佐藤允彦ソロアルバム「観自在」≫とタイトルして投稿した1976年のピアノソロアルバム同様、毛筆による書をイメージ媒体としてなされたソロパフォーマンスのよし。アルバム「観自在」は≪書道家佐藤勝彦による書にインスパイアーされての、フリーインプロヴィゼーションソロアルバム≫だったけれど、今回のジャズ祭ライヴのソロアルバム『アポストロフィー』(1982)では、同行の婦人の筆による書を見ながらインプロヴィゼーションとのこと。それにしても、この音の豊満さ、ダイナミズム、濁りのないクリアーな美しさ、メリハリのみごとさ、・・・これらを帰結するピアニズムの秀抜はもう感嘆のほかない。こんな傑出がわが国に存在しているのだ。ジャズにとどまるものじゃない、ここには普遍としての音楽が鳴り響いている。すばらしいの一語!。




1. 遡行 Upstream
2. 断片 Fraction
3. ここだけの話だがInter nos
4. 奔流 Torrent
5. にもかかわらず Notwithstanding
6. 装い Attire
7. 未熟な理由 Unseasoned Reason
8. 巨石 Megalith
9. “ホーハイもどき” Encore~Quasi”Ho-Hi”



佐藤允彦、関連投稿記事――

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/60161856.html 佐藤允彦佐藤允彦ソロ・ピアノ3部作>第3部「多次元球面~同時進行による多次元録音~」。多次元録音・仮想デュオの圧倒的な情理せめぎあうピアノの炸裂にやはり魅き入れられる見事さだ。