yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

ゲゼック、リゲティ、ブークレシュリエフ3人。おしなべてクラスター・音群処理の時代的潮流を示すもの。

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André Boucourechliev

           
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レコードの副題はトゥールーズアヴァンギャルドToulouse Avant Gardeとなっている。これは、収録されている作曲家の出自やら、活動場所等に由来するといったものではなく、当オーケストラがフランス・トゥールーズを拠点にするということから呼ばれたにすぎないのだけれど。要するに政治文化の中心のパリより離れたところ、地方都市からの現代音楽活動の紹介といった意味合いなのだろう。収録されている作曲家のひとり、ジャン・ピエール・ゲゼックJean-Pierre Guezecはフランスの作曲家で37才で惜しまれて世を去った人物。ジョルジ・リゲティGyörgy Ligetiはいうまでもなくハンガリー出身の、ドイツを拠点に活動し、その音楽史上の業績でつとに知られた作曲家。そして、もうひとりのアヴァンギャルドブルガリアを出自とし、パリを活動拠点にするアンドレ・ブークレシュリエフAndré Boucourechliev。収録されているこれら三人の作品の傾向性は、簡単に言ってしまえば、おしなべてクラスター・音群処理の時代的潮流を示すものといえよう。50年代総音列点描音楽に対するアンチとして登場してきた音楽だ。模糊とした微細な音の移ろい、微妙な音色変化をその特徴とする。フランスでは、スペクトル楽派の動向としてそれはおおきなうねりをつくりだした。なかでも、少し異色なアンドレ・ブークレシュリエフは、ここでも毛色の違いを魅せて聴かせる。彼の音の背後にあるパッションはひじょうに熱い。激情といえばいいのだろうか。これが大いなる魅力なのだけれど。今日の収録曲「オンブル“ベートーヴェンを讃えて”Ombres “Homage a Beethoven”」(1970)もそうした魅力に溢れるオモシロい曲だ。






ジャン・ピエール・ゲゼックJean-Pierre Guezec「シュクセシフ・シミュルタネSuccessif-Simultane<12の弦楽器のための>」(1968)

ジョルジ・リゲティGyörgy Ligeti「ラミフィケーションズRamifications<弦楽オーケストラまたは12のソロ弦楽器のための>」(1968-9)

アンドレ・ブークレシュリエフAndré Boucourechliev「オンブル“ベートーヴェンを讃えて”Ombres “Homage a Beethoven”」(1970)


Architectures Colorés (1964), by Jean Pierre Guezec:Architectures Colorés (1964)