yuki-midorinomoriの日記

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クルターク/バートウィッスル/グリゼ『作品集』。

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Gerard Grisey: "Modulations" (1976-77) Part Four of "Les espaces acoustiques"

           

フランスでの戦後の大きな現代音楽の潮流として記憶されるべきスペクトル楽派(École spectrale すぺくとるがくは)の創始者のひとりジェラール・グリゼー(Gérard Grisey, 1946 - 1998)(もうひとり重要人物にトリスタン・ミュライユ(Tristan Murail, 1947 - )がいる)の作品が、それもブーレーズの率いる現代音楽演奏グループ、アンサンブル・アンテルコンタンポランEnsemble InterContemporainによる演奏のアルバムがネット図書館で所蔵されているのを、ひよんな検索経緯から知るにおよび借り受けた。グリゼーだけでなく、ほかにクルターククルターグ・ジェルジュKurtág György、ルーマニア1926 - )とバートウィッスル Harrison Birtwistle(1934‐)の曲が併録されている。このうちバートウィッスルは≪ハリソン・バートウィッスル『The Triumpf of Time(for orchestra)』(1972)。時に抗うことの出来ぬ有限存在・人間の救い難い虚無を前にした苦悩の音響造形ということか?。≫とタイトルし1年半ほど前に投稿している。緻密で音色感覚の優れた好きな作曲家のひとりだ。ブーレーズの好みそうな作曲家だ。もう一人のクルタークは、その名を知るも今だキチット聴いたことはない。けれど、私の肌にはフィットしない作曲家のようだ・・・。ともかく、このアルバムの鑑賞目的は、ひとえにスペクトル楽派の創始者にして総帥ジェラール・グリゼーだ。早世が(といっても52才の没だけれど)惜しまれる。そのスペクトル楽派、つまるところ≪音響現象を音波として捉え、その倍音をスペクトル解析したり理論的に倍音を合成することによる作曲の方法論をとる作曲家の一群。≫(WIKI)のつくり出す魅力ある音響空間の提示は、戦後の飛躍的な産業技術、テクノロジーが生んだエレクトロニク音響創造の、アナログ・アコースティックサウンドへのフィードバックが生み出したものと言えようか。テクノロジーを媒介とする音響の深遠、豊穣を目指してのヒューマンな感性拡張、再創造といえるのだろうか。このグリゼーのスペクトル楽派への出立は≪サステインする響きに抱かれ、身をひたし、吾をあずける快感放心の世界。狷介孤高ジャチント・シェルシのピアノソロ作品『Suite No.2』(1930)『Action Music』(1955)≫や≪たえざる始原を喚起する情念の響きジャチント・シェルシ(1905 - 1988)のチェロ独奏曲集。≫などと投稿したイタリアの狷介孤高のジャチント・シェルシの影響のもとにあったそうだ。こうした投稿タイトルで、おおよそのその曲趣、風情は了解されることだろう。




クルターク/バートウィッスル/グリゼKURTAG/BIRTWISTLE/GRISEY
『作品集』

1. 亡きR.V.トゥルソヴァのメッセージ~ソプラノと室内アンサンブルのためのリンマ・ダロスの21の詩op.17(MESSEGES DE FEU DEMOISELLE R.V. TROUSSOVA - 21 POEMES DE RIMMA DALOS, OP.17 (MESSEGES OF THE LATE R.V.TROUSSAOVA)) (クルターク)

2. …agm…~16の声と3つの楽器アンサンブルのための(...AGM... POUR 16 VOIX ET 2 GROUPES INSTRUMENTAUX) (バートウィスル)

3. モデュラシオン(変調)~33人の演奏者のための(MODULATIONS) (グリゼ)



Harrison Birtwistle : ...agm... (for 16 voices and 3 instrumental groups Choeur John Alldis, Ensemble InterContemporain, Pierre Boulez, direction. (1/3)