yuki-midorinomoriの日記

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エサ=ペッカ・サロネン『ヒーリックス|ピアノ協奏曲|ディコトミー』(2009)。複層的なうねりを伴ったそのマッシヴな響きは巧みに高揚感へと導き、聴くものを飽きさせずみごと。

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Esa-Pekka Salonen - Helix for orchestra – Gergiev

            

きょうも先日に引き続いてのネット図書館借受のアルバムの鑑賞。久しぶりに検索条件に「現代音楽」と打ち込んでみたところ、ヒットしたのがフィンランドエサ=ペッカ・サロネンEsa-Pekka Salonen, 1958 - )の自作自演の作品集『ヒーリックス|ピアノ協奏曲|ディコトミー』(2009)。図書館所蔵には珍しくほとんど新譜だ。作曲家としてよりも今や指揮者としての活動のほうがめざましく、露出度大のようだけれど。2年ほど前に≪エサ=ペッカ・サロネン『サロネン自作自演集』(2001)。作曲家と指揮者の二足のワラジや如何。速度感覚に満ちたエネルギッシュなオスティナートとオーケストレーションシベリウス、プラス伊福部昭の趣き。≫とタイトルし投稿している。基本的な音響造形の志向性は変わらないようだ。一曲目の『「ヒーリックス」(管弦楽のための)HELIX FOR ORCHESTRA』(2005)など、ひじょうに複層的なうねりを伴ったそのマッシヴな響きは巧みに高揚感へと導き、聴くものを飽きさせずみごとだ。こう云うのこそ、理屈抜きに有無言わせず音楽を愉しむということなのだろう。次の『ピアノ協奏曲』(2007)もおなじく、ミニマル的でうねりを伴った複層的な音響動態は圧倒的で、文句なしに聴くものを惹き付け魅了し、カタルシスへと導いてゆく。こうしたマッシヴでエネルギッシュな響きをともなう、明瞭で親しみやすさが支配する新ロマン主義的音楽形式は、ミニマルミュージックの切り開いた地平に花咲いたもの、そのスケールアップした新展開と思える。響きの色彩豊かで多層的な展開に飽きることなく寄り添い、波乗りするがごとく聴き通せるのも、たぶんそこいらあたりにあるのだろう。小難しく考え身構える必要などなく、理屈抜きに身を任せ音の波乗りを愉しめばいいのだ。現代音楽もここまでくれば親愛の念を持って受け入れられる事だろう。
ところで、3曲目の『ディコトミー(ピアノ・ソロのための) DICHOTOMIE FOR PIANO SOLO』(2000)など、山下洋輔が演奏したら・・・と思わせるものがあった。ラヴェルボレロ以上のオモシロいパフォーマンスを期待できるかも。


エサ=ペッカ・サロネンESA-PEKKA SALONEN 『ヒーリックス|ピアノ協奏曲|ディコトミー』(2009)

01 エサ=ペッカ・サロネン:「ヒーリックス」(管弦楽のための)
HELIX FOR ORCHESTRA (2005)
02 エサ=ペッカ・サロネン:ピアノ協奏曲 第1楽章
PIANO CONCERTO 1ST MOV. (2007)
03 エサ=ペッカ・サロネン:ピアノ協奏曲 第2楽章
PIANO CONCERTO 2ND MOV.
04 エサ=ペッカ・サロネン:ピアノ協奏曲 第3楽章
PIANO CONCERTO 3RD MOV.
05 エサ=ペッカ・サロネン:ディコトミー(ピアノ・ソロのための) 1.メカニズム
DICHOTOMIE FOR PIANO SOLO 1. MECANISME (2000)
06 エサ=ペッカ・サロネン:ディコトミー(ピアノ・ソロのための) 2.オルガニズム
DICHOTOMIE FOR PIANO SOLO 2. ORGANISME