yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

『高橋悠治4 -寝物語, スイジャクオペラ「泥の海」, Winter Music, 他』。

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ちょうど1週間まえに≪『高橋悠治1、糸の歯車~箏とオーケストラのための(1990)ほか』。この風趣。奇を衒う以上の悠治ジャパネスクはひじょうに面白い。これぞ現代の邦楽。悠治ジャパネスクなニッポンの叙情。≫とタイトルし投稿したのだけれど、その興に乗せられて追って購入した『高橋悠治4 -寝物語, スイジャクオペラ「泥の海」, Winter Music, 他』CD2枚組みをきょうは投稿。寝ながら歌うという「寝物語」の趣向も風変わりで興起こさせるが、それらとはべつに2枚のうちの一枚全部がジョン・ケージのピアノ作品パフォーマンスで占められているということもあって購入した。廉価盤であるということもあるけれど・・・。まあ、一時期のアングラ演劇や、暗黒舞踏に興味をお持ちの方はどうだか分かりませんが・・・。???ですね。その土俗的曲趣、狙いは分かるんですが。ともかく「寝物語」の語り?歌、ヴォーカル?がイケマセン。詩?(これを詩というか)もさることながら、隔靴掻痒、居心地悪い歌いまわしのミュージカルを聴くような、(少年を演じるということに起因するのか)没個性で気色悪いイントネーション、抑揚、アクセントのうた(「歌手の楽譜は音名でしるされていて、微細な変化が線でしめされている。高橋悠治)」のだそうで、したがって避けようもないのかも)。ミスキャスト?としか思えない・・・残念。寝ながら唄うというその狙い、大いに興味をもたせるものではあったけれど。もうひとつの「スイジャクオペラ<泥の海>」も、これはアングラ演劇のセリフまわし、語り、とどこがちゃうネンといいたくなる。けれど、こうした試みをあえて果敢するのは、このひと高橋悠治しかいないだろうということで、感興を持たせはする。が、しょうじき藤井貞和という人の、この詩詞が、詩であるのかよく分かりません。詩と名乗っているから詩なのでしょうが・・・。


【 高橋 悠治

この壊れた世界の、壊れたことばと壊れた音楽の「泥の海」から、新しいうぶ声が生まれてくる。
身体というからっぽな器(「スイジャク」してただ「在る」という原初の状態)をつらぬく声の力によって、島となり、時の巫女となり、歌姫、不良少女、五穀となって再生する女たちと、風の音のジープとなって漂流する男たちのグループが合流する、神話的創造の儀式。
声による集団作業としてのオペラの原義にさかのぼり、打つもの、ふるえるものとしての楽器の起源にさかのぼって、音楽は創られようとする。
この儀式は、詩人・藤井貞和自身の声のなかから現われ、またその声のなかに収斂するもの。二人の打楽器奏者のほかには、二人のソロ歌手に導かれる男女それぞれのコーラスが、いくつかの音具をあやつり、かんたんなしぐさと手の舞い、足踏みをともなって展開する。
その前に置かれる「寝物語」(おなじく藤井貞和の詩による)は、古代には巫女の楽器であった箏にのせてよみがえる病んだ少年の声、あおむけに寝て、暗い天井から降りてくる死者のことばを伝える叙事詩の原型。】

さて、もう一枚のジョン・ケージ『作品集』。これは妹・高橋アキとの二人によるパフォーマンスもの。ケージの作品は光の三原色の加色混合のように同時演奏しても濁らないのに気付いた。より豊穣化し、音の多彩を開け広げるのだ。新規の出会い、偶然性の輝き、しなやかさが、いっそう増してくるのだ。却って鮮度を増すのだった。他者を排除しない、肯定の音楽。これは発見だった。



以下は通販サイトよりのコピペ。


高橋悠治4 -寝物語, スイジャクオペラ「泥の海」, Winter Music, 他』

【CD1】
これらの二つの作品は、藤井貞和の詩にもとづいている。
『寝物語』は、床に仰向けになった歌手と箏奏者のために書かれた。歌手は、登場人物にむすびついたメロディーの変化以外は、ほとんど1音上で語る。箏はいくつかの型にもとづいて、自由に演奏する。照明は床に置かれたランプだけ。これは、フィリピンのパラワン島叙事詩や、日本古代のコトによる託宣にヒントを得た。
『泥の海』は、合唱のための舞台作品であり、ヨーロッパのオペラではなく、日本の村々でまだ演じられている神楽をモデルとしている。男女のソロ歌手は、2人のプロンプターに操られる人形としてあつかわれる。男女に分かれた合唱は床に座って竹筒を打ち、吹き鳴らし、時に中央の演技空間に進み出る。2人の打楽器奏者が、当り鉦、榊の枝、桶、梓弓、すりざさら、神楽鈴を打つ。詩人自身は司祭役として、神事の開始を終了の祝詞をよむ。

CD-1
1.寝物語(1997)[「新しいうたを創る会」1997年度委嘱作品]
2.スイジャクオペラ・泥の海(1999)[藤井貞和詩集「ピューリファイ・ピューリファイ!」による「新しいうたを創る会」1999年度委嘱作品]
 式一番 スイジャク/式二番 蛭子/式三番 泥の海/式四番 道具衆/式五番 島/式六番 時の巫女/式七番 歌姫/式八番 ジープ/式九番 五穀/式十番 ふたたびスイジャク

【演奏】
CD-1
西岡茂樹(Vo)、高田和子(箏)、藤井貞和(語り)、山口道子(女ソロ)、近藤政伸(男ソロ)、神田佳子&佐々木啓恵(打楽器)、田中信昭(指揮)、新しい合唱団、新しい合唱音楽研究会・九州、新しい合唱音楽研究会・関西


【CD2】
これは2001年11月24日「彩の国」でのAll Cage Concertのライヴ録音をCD用に再構成したもの。
つかわれた曲目の進行はTime Tableの通り。(小数字は演奏を折り畳んで積み重ねた箇所を示す)
以下はコンサート当時の曲目解説
ジョン・ケージ(1912-1992)にとって、作曲とは未知の音の発見とそのための方法的実験だった。多様な作品群には、孤立した音色と沈黙に向かう傾向と、異質なものがにぎやかに共存する。サーカス的世界が交錯している。ここでは前者を代表するWinter Musicを演奏し、それと同時に多彩な作品群をもう一台のピアノで次々に演奏するという、MusicCircus[音楽サーカス]を構成してみた。―高橋悠治

イメージ 2CD-2
J.ケージ:作品集
1.Winter Music
2.Tossed As It Is Untroubled
3.Suite for Toy Piano
4.Music of Changes Volume Ⅰ
5.Water Music
6.Winter Music
7.Music Walk
8.Etudes Australes Ⅷ
9.Experiences Ⅰ

【演奏】
CD-2
高橋悠治(P,ラジオ)
高橋アキ(P,プリペアードピアノ,トイピアノ,ラジオ,ヴォーカル,ゲームコール,ウォーター・ゴング)
【録音】
2000年2月13日(CD1)、2001年11月24日


Yuji Takahashi-mano vacilante 1/6