シマノフスキ & ブリテン『ヴァイオリン協奏曲』。 ブリテンの、骨っぽさと古典的美しさのそなわった不思議な力を湛えたヴァイオリン協奏曲
Benjamin Britten - Violin Concerto, Op. 15 : Frank Peter Zimmermann performs Britten Violin Concerto at La Scala with Maestro Sawallisch.
シマノフスキとブリテン、そのカップリングということでネット図書館の所蔵CDを借り受けた。たぶん、つい最近所蔵されたものなのだろう。リリースは2009年となっている。どちらの作曲家も、以前≪『イザベル・ファウスト、スラヴ作品集』(2002)。ヤナーチェク、シマノフスキ、ルトスワフスキ。その深く濃密な音楽精神に魅了される。≫と、≪ベンジャミン・ブリテン『戦争レクイエム』。明晰と剄い精神性。≫、≪ベンジャミン・ブリテン『チェロ作品集』。まず美学が違う。この不撓不羈の剄い精神。なまなかな叙情を排したその美意識から生み出される硬質、剛性の響き。≫とタイトルして投稿している。借り受ける時は、その豊麗艶やかなオーケストレーションのシマノフスキ目当てだったのだけれど、聴いてみると、こちらのコンディションもあったのかブリテンの『ヴァイオリン協奏曲ニ短調 Op.15 CONCERTO FOR VIOLIN AND ORCHESTRA D MINOR OP.15』(1939)の方に魅かれるものがあった。この古典的な美しさと剄い精神性に支えられたヴァイオリン協奏曲は、べつに名作傑作の閾の作品ではないのかも知れないが、骨っぽさと形式的美しさのそなわった不思議な力を湛えた曲といえるのかも・・・。いくぶん音楽外的な出来事に引きつられての印象やも知れないが。1939年はイギリスが対ドイツの戦争(第二次世界大戦)へと歩を進めるに至った年だった。作曲の個人的動機は詳らかでないらしいけれど、作品成立の現実の歴史的背景は斯くあったということは忘れるべきことではないように思える。
「芸術家は、彼が暮らす社会の一員であるべきだと私は思っている。彼は社会のために働くべきであり、社会に必要とされなければならない」
1. カロル・シマノフスキ:ヴァイオリン協奏曲第1番Op.35
(CONCERTO FOR VIOLIN AND ORCHESTRA NO.1 OP.35)
2. カロル・シマノフスキ:ヴァイオリン協奏曲第2番Op.61
(CONCERTO FOR VIOLIN AND ORCHESTRA NO.2 OP.61)
3. ベンジャミン・ブリテン:ヴァイオリン協奏曲ニ短調OP.15
(CONCERTO FOR VIOLIN AND ORCHESTRA D MINOR OP.15)
(CONCERTO FOR VIOLIN AND ORCHESTRA NO.1 OP.35)
2. カロル・シマノフスキ:ヴァイオリン協奏曲第2番Op.61
(CONCERTO FOR VIOLIN AND ORCHESTRA NO.2 OP.61)
3. ベンジャミン・ブリテン:ヴァイオリン協奏曲ニ短調OP.15
(CONCERTO FOR VIOLIN AND ORCHESTRA D MINOR OP.15)
Britten Violin Concerto - I - Moderato con moto - Janine Jansen London Symphony Orchestra Paavo Järvi