yuki-midorinomoriの日記

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セヴェリーノ・ガッゼローニ『フルート名演集 Flöte』。都合6人の作曲家の作品集。なかでもブルーノ・マデルナ。ヒューマンで温かいトータルセリーの多様に移ろいゆく音色展開。緊張感と余韻そなえた美しい曲

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Maderna- Hyperion III (1/3)

             

ソリストの演奏集であってみれば、おかしくもないけれど、都合6人の作曲家の作品が詰まっている、それも現代音楽をメインにした音盤がきょう投稿するもの。おのおの作風のちがった作曲家6人、それも現代音楽の紹介など、とてもじゃないけどやってられない。という思いもあって先送り、たなざらしになっていたアルバムだ。現代音楽ものを得てとする?フルーティスト、セヴェリーノ・ガッゼローニ(Severino Gazzelloni, 1919 - 1992)の演奏集『Flöte』。素っ気ないアルバム・タイトルだ。ところがきょう気づいたのだけれど、私の好きなイタリアの作曲家であり指揮者(現代音楽のリアリゼーションで多大の貢献あった)のブルーノ・マデルナ(Bruno Maderna, 1920 - 1973)のB面全部を埋めるおよそ25分の作品「フルートとオーケストラのための<ヒュペリオンⅢ>Hyperion 3」(1965)が収録されているのだった。ニーチェハイデガーなどへ哲学・思想的影響を与えているヘルダーリン(Johann Christian Friedrich Hölderlin, 1770 - 1843)の、書簡体小説ヒュペリオン」の舞台上演に付随する音楽として作曲されたものの由。そんなことはともかく、音楽的感性の豊かさを示すかのごとき、この作曲家の色彩あふれる音色感覚が優れていてそれが好みだったのだ。ダイナミックで且つ繊細優美。ヒューマンで温かいトータルセリーの多様に移ろいゆく音色展開。古典的とも言えなくもないその美しさは、いまなお十二分に聴くに値する。緊張感と余韻そなえた美しい現代音楽といっておこうか。53才という若さでの死が惜しまれる。







セヴェリーノ・ガッゼローニ Severino Gazzelloni『フルート名演集 Flöte』

Tracklist:
A1. Syrinx 1912/13
Written-By - Claude Debussy

A2. Divertimento Für Flöte Und Orchestra Op.52
Written-By - Ferruccio Busoni

A3. Density 21,5
Written-By - Edgard Varèse

A4. Couple Für Flöte Und Klavier
Written-By - Sylvano Bussotti

A5. Rhymes For S.Gazzelloni
Written-By - Yori-Aki Matsudaira

B1. Hyperion 3
Wtitten-by - Bruno Maderna



Maderna- Hyperion III (3/3)



ブルーノ・マデルナ関連投稿記事――

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/61297796.html ブルーノ・マデルナ『オーボエ協奏曲第1番、第2番、第3番』。繊細多彩豊潤、音の行く末にシカと聞き耳立てる趣。絶妙なバランス感覚で音が丁寧に紡ぎ編みあげられてゆく。そのワザ、玄妙といっていい。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/59390400.html 『イタリア現代音楽作品集』(1978)。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/56987256.html ガンサー・シュラー「THE INVENZIONI」ほかとブルーノ・マデルナ「GIARDINO RELIGIOSO」 (1972)。音列を踏まえた音色的にも多彩で伸びやかな現代音楽。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/54145620.html ブルーノ・マデルナのザルツブルク音楽祭’73でのドキュメントLP2枚組み『Ein Document』。骨格の確かさと自在多彩な音色で陰影深く奏でられる音楽世界。真正の作曲家ルトスワフスキを聴く。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/52029572.html ブルーノ・マデルナ『Aura (管弦楽のための)アウラ(気)」(1972)ほか。「音象の朦朧とした揺らぎがことのほか余韻をもって美しく印象深くさせる。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/46684527.html 過剰と空疎からは無縁な十二音音楽の旋律の美しさルイージ・ダッラピッコラとふくよかで艶やかなその豊かな音色のブルーノ・マデルナ。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/43213668.html 美しい響き、音色に現代曲であることを忘れさせるほどの、いまや古典の域に入った『NONO,MADERUNA,BERIO』初期作品集。