yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

『雅楽の世界(上)(下)』CD4枚組。器楽の雅楽もいいけれど、東遊AZUMA-ASOBIなどの朗詠にとりわけ魅かれた。字の通りまさに朗々と歌い上げる清々しさ、その自然な息づかい、自然の息吹。

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Gagaku Batou 抜頭

            

   「古式ゆかしい印象が邪魔になって敬遠されるところがある」 芝祐靖

ネット図書館に所蔵されていた雅楽の世界(上) (下)、CDが都合4枚の大部なものを借り受け鑑賞した。それは、直近の≪『邦楽名曲セレクション20~古曲』。「諸流の中でもっともしめやか」(永井荷風)。その浄瑠璃「宮薗節」ほかを聴く。≫や≪『中国・何寶泉、孫文妍の古筝』。云うまでもなく、歴史・風土、情緒が染み付いているというかのごとく、音色、アーティキュレーションをわずか聴いただけでも、その違いははっきりと分かる。≫などといった歴史を感じさせる音源の投稿の流れでもあるのだけれど。いままで、雅楽のアルバムを以下すでに投稿している。


http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/58484487.html 『声明と雅楽の世界』。「越天楽」だけで雅楽を済ましてしまうには余りにも勿体ない。歴史が鳴っています。自然が息づき吹き遊(スサ)んでいますといったところだろうか。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/58473397.html 雅楽、伶楽舎・ 芝 祐靖『陰陽師』。素晴らしい!。自然が起ちあがってくる息吹、息づかい気韻荘重を深く感じさせて秀逸だ。自然が吹き遊(すさ)んでいる。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/39880032.html 1400年の歴史の積層がヘテロホニックに起ちのぼる音の宇宙へと誘う東儀秀樹の『雅楽(天・地・空~千年の悠雅)』(2000)


もちろん武満徹の現代雅楽の傑作というより、歴史的な記念碑的作品といってもいい『秋庭歌(しゅうていか)』、『秋庭歌一具』をも以下投稿している。


http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/35187444.html 静寂のなか繊細に起ちのぼって響く武満徹雅楽『秋庭歌(しゅうていか)』(1973)

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/35822189.html 雅楽を超越した現代音楽としての響き、悠揚迫らぬ武満新雅楽秋庭歌一具』(1979)

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/58737062.html 武満徹秋庭歌一具』 伶楽舎(2001)。武満徹の、まるで音を自然へ返そう、送り返してやろうとでもいうかのような音そのものの自然性、本源性へ迫る認識力の透徹。


以上の記事にて紡ぎだすことばは尽きているのだが。もちろ千年以上の歴史をもつ世界最古の管弦楽【ただし、平安時代に行われた楽制改革により大陸から伝来したものは編曲や整理統合がなされ国風化しているためかなり変化しており、合奏形態や演奏技法などは応仁の乱以降徳川幕府が楽師の末裔(楽家)をあつめて再編するまでは100年以上断絶していたので平安時代の形態をどこまで継承しているかは不明である。】(WIKI)といわれる雅楽ゆえの学ぶべき内容の深さは棚上げにしてのことだけれど。

【≪まさに音がたちのぼるという印象を受けた。それは、樹のように、天へ向かって起ったのである。。≫これは武満徹が1962年最初に雅楽宮内庁で聴いたときに綴った言葉だそうである。】とは≪静寂のなか繊細に起ちのぼって響く武満徹の雅楽『秋庭歌(しゅうていか)』(1973)≫とタイトルしての記事中に引用したことばだ。たぶんこれは誰しもが抱く雅楽の印象のように思える。そして武満徹2作目の雅楽の作品『秋庭歌(しゅうていが)一具』では次のようにも言っている。≪この雅楽のように特殊な形態のオーケストラは世に類例を見ない。それはかならずしも特殊な生を永らえたと謂うことに由来するばかりではない。純粋に物理的な見地において特殊であり、寧ろそれは奇異ですらある。だがそれがあの非現世的な魅惑に満ちた音響世界を創出しているのだ。凡そ高音に偏った楽器群、その極度に制限された機能、異質の音色の集合。雅楽は、西洋の調和の概念からは遠く隔たっている。だが、あの永遠や無限と謂うものを暗示する形而上的な笙の持続――それが人間(人)の呼吸と結びついていることの偉大さ――に対して楔のように打ち込まれる箏や琵琶の乾いた響き――それは笙や篳篥とは全く異なる時間圏を形成する―。そして、管楽器の、殊に篳篥の浮遊するようなメリスマ、それらの総てが醸成する異質性(ヘテロジェニー)は、私たち(人類)にとっては決して古びた問題ではない。≫。まさしく、旧くて新しいのだ。≪あの永遠や無限と謂うものを暗示する形而上的な笙の持続――それが人間(人)の呼吸と結びついていること≫という武満の言葉どおり、強烈な印象のする響きで、自然が吹き遊(すさ)んでいるといった風情なのだ。】(既投稿記事より)

今回、通しで聴いて興味魅かれたのは朗詠だった。とりわけ≪東遊AZUMA-ASOBI≫といった30分近くのそれは感動ものだった。字の通りまさに朗々と歌い上げる清々しさ、その自然な息づかい、自然の息吹。みごとです。それと、≪「天から差し込む光」を表す笙(しょう)。「天と地の間を縦横無尽に駆け巡る龍」を表す龍笛(りゅうてき・おうてき)。「地上にこだまする人々の声」を表す篳篥(ひちりき)。≫(WIKI)といった三管の、高音にかたよった天をつくような響きに対して、まさにポロロンと絃の響きを鈍く押し殺したような≪箏や琵琶の乾いた響き≫(武満)素朴な音色の対比が、なんとも自然を感じさせ親和を抱かせるのだった。

動画音源に、これといった朗詠のないのが残念だけれど、縁があれば是非聴いていただきたいものだ。

http://www2.ntj.jac.go.jp/dglib/edc8/deao/roei/index.html 動画音源:朗詠『春過(はるすぎ)』



雅楽の世界(上)
GAGAKU(1)

DISC1

1. 平調音取
HYOJO-NO-NETORI
2. 平調 越殿楽(唐楽・管絃)
HYOJO ETENRAKU
3. 壱越調 蘭陵王(唐楽・舞楽
ICHIKOTSUCHO RANRYOO
4. 太食調 還城楽(唐楽・右方舞楽
TAISHIKICHO GENJORAKU
5. 高麗壱越調 八仙 破・急(高麗楽
KOMA-ICHIKOTSUCHO HASSEN HA,KYU
6. 久米歌(雅楽歌曲・上代歌舞)
KUMEUTA
音取 NETORI
参入音声 MAIRI ONJO
揚拍子 AGEBYOSHI
7. 壱越調音取
ICHIKOTSUCHO-NO-NETORI
8. 壱越調 胡飲酒破(唐楽・管絃)
ICHIKOTSUCHO KONJU-NO-HA
9. 誄歌(雅楽歌曲・上代歌舞)
RUIKA


DISC2

1. 壱越調音取
ICHIKOTSUCHO-NO-NETORI
2. 壱越調 春過(雅楽歌曲・朗詠)
ICHIKOTSUCHO HARUSUGI
3. 太食調音取
TAISHIKICHO-NO-NETORI
4. 太食調 合歓塩(唐楽・管絃)
TAISHIKICHO GAKKAEN
5. 双調音取
SOJO-NO-NETORI
6. 双調 武徳楽(唐楽・管絃)
SOJO BUTOKURAKU
7. 双調 春庭花(唐楽・舞楽
SOJO SHUNDEIKA
8. 盤渉調 蘇莫者破(唐楽・舞楽
BUNSHIKICHO SOMAKUSHA-NO-HA
9. 高麗壱越調 貴徳 破・急(高麗楽
KOMA-ICHIKOTSUCHO KITOKU HAKYU
10. 蓑山雅楽歌曲・催馬楽呂歌)
MINOYAMA
11. 太食調 長慶子(唐楽・右方)
TAISHIKICHO CHOGEISHI



雅楽の世界(下)
GAGAKU (2)

DISC1

1. 平調音取
HYOJO - NO - NETORI
2. 平調 林歌(唐楽 管絃)
HYOJO RINGA
3. 高麗壱越調 納曽利 破・急(高麗楽
KOMA - ICHIKOTSUCHO NASORI  HA, KYU
4. 平調 陪臚破(唐楽 舞楽
HYOJO BAIRO - NO - HA
5. 沙陀調音取
SADACHO - NO - NETORI
6. 壱越調 陪臚急(唐楽 舞楽
ICHIKOTSUCHO BAIRO - NO - KYU
7. 平調 萬歳楽(唐楽 舞楽
HYOJO MANZAIRAKU
8. 東遊AZUMA-ASOBI;狛調子KOMAJOSHI|阿波礼AHARE|音出KOWADASHI||一歌ICHIUTA|二歌NIUTA|駿河歌歌出SURUGAUTA - NO – UTADASHI|駿河歌一段SURUGAUTA - NO –ICHIDAN|駿河歌二段SURUGAUTA - NO –NIDAN|加多於呂志KATAOROSHI|阿波礼AHARE|求子歌出MOTOMEGO - NO - UTADASHI|求子歌MOTOMEGOUTA|大比礼歌出OBIRE - NO - UTADASHI|大比礼歌(雅楽歌曲 上代歌舞)OBIREUTA


DISC2
1. 盤渉調音取
BANSHIKICHO - NO - NETORI
2. 盤渉調 白柱(唐楽 管絃)
BANSHIKICHO HAKUCHU
3. 黄鐘調音取
OSHIKICHO - NO - NETORI
4. 黄鐘調 拾翠楽(唐楽 管絃)
OSHIKICHO JUSSUIRAKU
5. 黄鐘調 喜春楽破(唐楽 管絃)
OSHIKICHO KISHUNRAKU - NO - HA
6. 太食調 抜頭(唐楽 左方舞楽
TAISHIKICHO BATO
7. 高麗壱越調 胡蝶(高麗楽
KOMA - ICHIKOTSUCHO KOCHO
8. 神楽音取
KAGURA - NO - NETORI
9. 其駒SONOKOMA;三度拍子SANDOBYOSHI|揚拍子AGEBYOSHI(雅楽歌曲 神楽歌)
10. 壱越調 蘭陵王(唐楽 管絃)
ICHIKOTSUCHO RANRYOO



柳初新之曲(朗詠歌) 유초신지곡 yoocho'shinji-guk