yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

雅楽『源氏物語の世界』。 源氏物語を読んだことはないのですが・・・。

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壱越調 春鶯囀入破(しゅんのうでんじゅは)

             

この12月初旬に≪『雅楽の世界(上)(下)』CD4枚組。器楽の雅楽もいいけれど、東遊AZUMA-ASOBIなどの朗詠にとりわけ魅かれた。字の通りまさに朗々と歌い上げる清々しさ、その自然な息づかい、自然の息吹。≫と投稿したばかりなのですが・・・。

さて、わが国最古いや世界最古の長編小説といわれている『源氏物語』。というものの私は読んだことはありません。おおむかし高校の古文の授業で勉強用にテキストとして読んだくらい。こんなのは読んでるとは言わない。文庫本を所蔵してはいるものの、いまだ紐解いたこともない。その物語の中にいろいろな雅楽曲の名が出ているよし。で、そうした雅楽曲のなかから、現在にいたるまで演奏されており、かつ現代人の鑑賞に堪ええる美しい作品であること、それに、その曲の名が載っている巻がよく読まれている著名な巻である等々を勘案して選んだ雅楽曲が朗読をはさんで収録されてなったアルバムとのこと。ま、古典に不案内不勉強なわたしがする『源氏物語の世界』という雅楽アルバムのネット図書館で借りての鑑賞投稿です。


源氏物語の音楽について   多 忠麿(おおの ただまろ、1933 - 1994)
 源氏物語五十四帖の中にその名がみえる雅楽曲は数多い。催馬楽二十三曲。東遊(あずまあそび)。神楽歌(かぐらうた)二曲。大歌(おゝうた)。唐楽(とうがく)、高麗楽(こまがく)二十余曲。管絃(かんげん)、舞楽(ぶがく)など、ほとんどの分野にわたっている。このことは当時の宮廷、および貴族社会で雅楽が大いに流行していたことを物語っている。おそらく当時の上流社会においては、和歌や書、蹴鞠(けまり)などと同じく、教養の一つとして必修の課目であったことがうかがえる。「御遊抄」にも当時の帝、親王、堂上公郷たちが、折にふれ詩歌管絃の遊びを楽しんだことがみえるように、当時の宮廷の一日は雅びやかな音のない日はなかったと思われる。著者の紫式部自身がどのような楽器をたしなんだのかはわからないが、宮廷屈指の才媛であったことからして、和琴(わごん)、筝(そう)などは当然たしなんでいたことは想像に難くない。しかし物語中音楽的描写は比較的少なく、文学的表現の見事さからはかなり見劣りするような気がする。むしろ枕草子清少納言のほうがかなり練達の人であったようで、音楽的に突っこんだ表現がみえる。・・・】(同梱解説書より)


源氏物語「紅葉賀」~青海波SEIGAIHA(唐楽)のくだり。

朱雀院(すざくいん)の行幸は、十月の十幾日ということになっていた。
その日の歌舞の演奏は、ことに選りすぐっておこなわれるという評判であったから、後宮の人々はそれが御所でなくて陪観のできないことを残念がっていた。帝(みかど)も藤壺(ふじつぼ)の女御にお見せになることのできないことを遺憾に思召(おぼしめ)して、当日と同じことを試楽として御前でやらせて御覧になった。
源氏の中将は青海波を舞ったのである。二人舞の相手は左大臣家の頭中将たった。人よりはすぐれた風采のこの公子も、源氏のそばで見ては桜にとなった深山の木というより言いかたがない。夕方前のさっと明るくなった日光の下で、青海波は舞われたのである。地をする音楽もことにさえて聞えた。同じ舞ながらも面づかい、足の踏み方などのみごとさに、ほかでも舞う青海波とは全然別な感じであった。舞手が歌うところなどは、極楽の迦陵頻伽(かりょうびんが)の声と聞かれた。源氏の舞の巧妙さに帝は御落涙あそばされた。陪席した高官たちも親王方も同様である。・・・

                           「紅葉賀」与謝野晶子

Japanese Gagaku Music - Seikaiha, part 1


源氏物語の世界』

1. 谷崎潤一郎 新々訳 源氏物語「紅葉賀(もみじのが)」より
2. 谷崎潤一郎 新々訳 源氏物語「紅葉賀」~青海波SEIGAIHA(唐楽)
3. 谷崎潤一郎 新々訳 源氏物語「紅葉賀」より
4. 谷崎潤一郎 新々訳 源氏物語「紅葉賀」~秋風楽SYUHURAKU(唐楽)(復元曲)
5. 谷崎潤一郎 新々訳 源氏物語「紅葉賀」より
6. 谷崎潤一郎 新々訳 源氏物語「紅葉賀」~長保楽破CHOHOURAKUNOHA(高麗楽)(保曽呂久世利HOSOROKUSERI)
7. 谷崎潤一郎 新々訳 源氏物語「花宴(はなのえん)」より
8. 谷崎潤一郎 新々訳 源氏物語「花宴」~春鶯囀入破SYUNNOUDENJYUHA(唐楽)
9. 谷崎潤一郎 新々訳 源氏物語「明石(あかし)」より
10. 谷崎潤一郎 新々訳 源氏物語「明石」~伊勢の海ISENOUMI(催馬楽


青海波:光源氏が頭中将と帝の前で舞った曲
秋風楽:嵯峨天皇の南池院行幸の際、常世乙魚が作舞し、大戸清上が作曲
長保楽破CHOHOURAKUNOHA(保曽呂久世利HOSOROKUSERI):作曲者、由来などはあきらかでない。哀調を帯びた旋律。
春鶯囀入破:鶯の囀りを連想させる旋律。門出にめでたい曲。
伊勢の海:元は農漁業などを詠んだ風俗歌。雅楽風に洗練され宮中・御遊びに。

         (同梱解説書等より)


朗読 源氏物語(Tale of Genji) 若紫1 平安朝日本語復元による試み