yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

シュリッペンバッハ『Kung Bore』(FMP 0520・1978)。情動と理知の素晴らしいせめぎあい。通り一遍をはるかにしのぎ熱く激しく、そして打ち解けた親愛な絡みで魅せ聴かせる。

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5th MÓZG FESTIVAL: Alexander von Schlippenbach/Evan Parker/Paul Lovens

            
            投稿音源ではありません。

前回の投稿からおよそ1年2ヶ月ぶりのアレキサンダー・フォン・シュリッペンバッハ(Alexander von Schlippenbach, 1938 - )のデュオアルバムの投稿。ドイツ・フリージャズを語るときに欠かせない人物。現代音楽の手法を用いてのジャズ畑による集団即興演奏の試みは66年のこのシュリッペンバッハを嚆矢とする。その記念碑的アルバムが以下の投稿のものだった。4年余月も前の投稿だ。私にとっても印象深いアルバムだ。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/42232813.html 沸き立つエネルギーの音塊に身をさらす爽快、40年も前の音源いまなお新鮮なアレキサンダー・フォン・シュリッペンバッハ『GLOBE UNITY』(1966)

すでにシュリッペンバッハ関連で以下、上記を含めて7稿投稿している。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/60602305.html シュリッペンバッハ・クァルテット『Three nails left』(1974/75,FMP 0210)。エヴァン・パーカーのサックスがすごい。超硬質なこのテンション。ヨーロッパ・フリージャズの極み。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/34158762.html シュリッペンバッハの超出する凄まじいまでのカオス的なソノリティ『THE LIVING MUSIC』(1969)

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/55320256.html アレキサンダー・フォン・シュリッペンバッハ・クァルテットの『The hidden peak』(1977)。無機的で硬質、そのアーティフィッシャルな冷え寂の情熱。まさに空虚に起つ激情の美。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/48560024.html 情動と理知の素晴らしいせめぎあい。1972年沸騰し、たぎるFMPフリージャズ。シュリッペンバッハのピアノトリオ『PAKISTANI POMADE』(FMP‐0110)

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/48200996.html 現代音楽の手法を使っての捻ったインテレクチュアルなジャズ・ピアノソロ『PAYAN』(1972)

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/47068110.html 現代音楽的なピアノタッチにブルージーなトーンが熱く激するアレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハ(1938-)の『ピアノソロ』(1977)。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/42232813.html 沸き立つエネルギーの音塊に身をさらす爽快、40年も前の音源いまなお新鮮なアレキサンダー・フォン・シュリッペンバッハ『GLOBE UNITY』(1966)


上記の各々の寸評のことばで、おおよその事は語られている。もうあとは繰り返しになるだけだ・・・。バックボーンはジャズブルースと現代音楽と言ってほぼ間違いはないだろう。

ところで、音楽家にとっての師弟関係がどれほどの影響をもたらすのかよくわからないが、ケルンの音楽大学では、戦後現代音楽史上これからますますその名を高からしめることまず間違いないだろうベルント・アロイス・ツィンマーマン(Bernd Alois Zimmermann, 1918 -1970)に師事している。このツィンマーマンもジャズ手法を多少採り入れているが、その事が師弟の影響ウンヌンを示すものかどうかはわからないけれど。

ところで、そのツィンマーマンも都合6稿投稿している。たとえば

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/60355130.html ベルント・アロイス・ツィンマーマン『Présence』(1961) ほか。精神性の高さ、勁さ、骨格の太さ。勁くて太い音楽と言ってもいい。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/55400074.html ベルント・アロイス・ツィンマーマン『ツィンマーマン作品集』。精神の緊張、濃密。持続と炸裂その表象としての流動的な音色変化の凄まじいエネルギー。スゴイ!みごとだ!驚きだ。

といったように。


シュリッペンバッハの、現代音楽とジャズがこれほど熱くエネルギッシュにアマルガメーションされているのも、上のような経歴あってこそかとわが単細胞音楽感性は短絡する。そのことを以前≪情動と理知の素晴らしいせめぎあい≫と投稿に記した。今日の投稿デュオアルバムもそのような印象で魅せるパフォーマンスが収録されている。スウェーデンSven-Åke Johansson (1943 - ) のドラムスとの自在なインタープレイは通り一遍をはるかにしのぎ熱く激しく、そして打ち解けた親愛な絡みで魅せ聴かせる。通り一遍を打ち砕くのが現代音楽センスだからおもしろいのだ。






アレキサンダー・フォン・シュリッペンバッハ Alexander Von Schlippenbach / Sven-Åke Johansson 『Kung Bore』(FMP 0520・1978)

Tracklist:
A1. Kung Bore 12:43
A2. Blues Is Something Slightly Knowing 3:53
A3. Nordström 3:25
A4. High Noon 1:42
B1. Captain Blood 10:43
B2. Empty Horse Box 5:56
B4. Over The Rainbow 2:35
Written By - Harburd-Arlen

Credits:
Artwork By - Marina Kern , Sven-Åke Johansson
Drums, Accordion, Vocals - Sven-Åke Johansson
Piano - Alex Schlippenbach*
Producer - Jost Gebers
Recorded By - Nils Edström

Notes:
Recorded live at the Jazz club Fasching, Stockholm, November 18-19, 1977.


参考――
http://www.efi.group.shef.ac.uk/labels/fmp/cfmp.html Free Music Production: list of vinyl recordings


Alexander von Schlippenbach solo