『吟詠〈祝い吟〉~誕生から白寿まで』。壮士、国士的吟ばかりが吟ではありません。
【べつに私は(歴史・英雄主義)壮士的思想の持ち主でもなんでもないけれど、この腹の底から生気解き放つが如き律動をもっての漢詩の吟詠には少なからずの関心の耳をもっていたほうかも。】ということで≪『詩吟』。民謡のコブシ、節回しとおなじくの吟詠の強烈なアーティキュレーションにはたしかに情念くすぐり心捉えるものがあるようだ。 ≫とのタイトルをもって1年半ほどまえに吟詠を投稿した。詩吟と言えば「大楠公」や「白虎隊」、「鞭声粛々」、「本能寺」などなどの吟詠にある如く、勇壮、悲壮、壮絶といった壮士、国士的風情風趣に、いささか時代がかったものを感じて、すこしく馴染まないというお方もあることと案じますが・・・。しかし吟詩詠のもつ行書的律動はわが心根をゆさぶる。ということもあって、きょうは、壮士的詩情の吟詠世界からはいくぶんはなれての、人生の節目節目で誰しもが迎える祝い事の吟を集めたアルバムを、ネット図書館で借りての投稿。ワタクシがごとき、はや人生の黄昏を迎えつつある人間には、斯く節目節目で迎える生の輪郭あざやかに際立たせる通過儀礼等の出来事のかずかずは、過ぎ去りて、いよいよその恙無きを感謝ともども祝す思いをつよくするようだ。
「愛児の誕生を祝す」
吉報伝え来る初夏の晨(あした)
愛児安産して心身安かなり
誕生の歓喜家中に満ち
家族これを祝いて心意新たなり
作・進藤晴巌
『吟詠〈祝い吟〉~誕生から白寿まで』