yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

『ベルク:室内協奏曲、ストラヴィンスキー:バレエ音楽「アゴン」』。潤いと艶やかさ、ロマンティシズムこそは、ベルクだ、と思うのだけれど。

イメージ 1

Alban Berg - Chamber Concerto für Klavier, Violine und 13 Bläser: Adagio (1/2)

             

以前、アルバン・ベルクの「ピアノ・ソナタ 作品1」がラジオから流れているのをたまたま耳にし、やはりベルクは好いな~と、そのこともあって再度鑑賞しようと、ネット図書館で探したけれど、所蔵されていなかった。で、しかたなく、「室内協奏曲」(1923 - 1925)の入ったアルバムを借り受けた。それには、ストラヴィンスキーバレエ音楽「アゴン」(1957)がカップリングされており、これが借りた理由でもあるのだが。期待をもってベルクを聴いたのだけれど、結局はストラヴィンスキーの方がおもしろかった。新ウイーン楽派の総帥シェーンベルク亡きあとの、十二音音楽への接近と、ジャズ的フレーズの繰り込み(何かバーンスタインの曲のような風情も覗く)など斬新さでおもしろく聴けた。軍配(なんの軍配かといわれそうだが)はストラヴィンスキーだ。ベルクにとっての作品史の上で「室内協奏曲」がどのような位置づけになるのか浅学にして知らないが、師のシェーンベルクほどには管弦楽法、音の響かせ方に長けてるようには聴こえないのだが。いや、ひょっとしてこれは演奏するデヴィッド・アサートンDavid Atherton主宰・指揮するロンドン・シンフォニエッタ(London Sinfonietta)の音つくりの所為なのかもしれない。

もっと潤いが、ロマンティシズムの芳香があればナー、それがベルクではないの・・・と、私が思い込んで作り上げているベルク像からズレていたもので。

同梱解説には≪贅肉を排し、鋭い感覚で無駄なく切り詰めた感のベルク・・・虚飾のない曲作り・・・≫と讃されているのだけれど。わたしには、それがおもしろくなかったのだろう。だいぶ前に≪アルバン・ベルク『ヴァイオリン協奏曲、室内協奏曲』。なんともロマン主義的絢爛に彩られた<革新>!?音楽だこと。≫とタイトルして投稿したアルバムでは、そのカップリング曲の「室内協奏曲」を傑作「ヴァイオリン協奏曲」と対比し、【それにしても、妖しいほどのこの美しさ。それを死への意識と結びつけるのも作曲家の資質もさることながら時代背景からすれば肯けないこともないが・・・。この妖しいまでの美意識はとまどわせる。といいつつも、どちらかといえば私は世に名高いこの「ヴァイオリン協奏曲<ある天使の思い出に>」(1935)よりも、「室内協奏曲<ピアノ、ヴァイオリンと13楽器のための」(1923-5)のほうを好みとする。なぜだろう。たぶん<死>より<生>への明るさか?救いか?】と印象しているのだった。どちらにせよ潤いと艶やかさ、ロマンティシズムこそは、ベルクだ、と思うのだけれど。








『ベルク:室内協奏曲、ストラヴィンスキーバレエ音楽アゴン」』
BERG: CHAMBER CONCERTO|STRAVINSKY: AGON
指揮:デヴィッド・アサートン (DAVID ATHERTON)

1. アルバン・ベルク:室内協奏曲~ピアノ,ヴァイオリンと13管楽器のための 第1楽章 スケルツォ風主題と変奏曲
CHAMBER CONCERTO FOR PIANO, VIOLIN AND 13 WIND INSTRUMENTS 1ST MOV. THEMA SCHERZO CON VARIAZIONI
2. 第2楽章
2ND MOV. ADAGIO
3. 第3楽章 導入部を持つロンド・リトミコ
3RD MOV. RONDO RITMICO CON INTRODUZIONE

4. イーゴリ・フョドロヴィチ・ストラヴィーンスキイ:バレエ音楽アゴン」 第1部 パ・ド・カトル
AGON, BALLET MUSIC PART 1 PAS DE QUATRE
5. 第1部 ダブル・パ・ド・カトル
AGON, BALLET MUSIC PART 1 DOUBLE PAS DE QUATRE
6. 第1部 トリプル・パ・ド・カトル
PART 1 TRIPLE PAS DE QUATRE
7. 第2部 前奏曲
PART 2 PRELUDE
8. 第2部 第1パ・ド・トロワ サラバンド
PART 2 1ST PAS DE TROIS SARABANDE
9. 第2部 第1パ・ド・トロワ ガイヤール
PART 2 1ST PAS DE TROIS GAILLARD
10. 第2部 第1パ・ド・トロワ コーダ
PART 2 1ST PAS DE TROIS CODA
11. 第2部 第1パ・ド・トロワ 間奏曲
PART 2 1ST PAS DE TROIS INTERLUDE
12. 第2部 第2パ・ド・トロワ ブランル・サンプル
PART 2 2ND PAS DE TROIS BRANLE SIMPLE
13. 第2部 第2パ・ド・トロワ ブランル・ゲ
PART 2 2ND PAS DE TROIS BRANLE GAY
14. 第2部 第2パ・ド・トロワ ブランル・ダブル
PART 2 2ND PAS DE TROIS BRANLE DOUBLE
15. 第2部 第2パ・ド・トロワ 間奏曲
PART 2 2ND PAS DE TROIS INTERLUDE
16. 第2部 第2パ・ド・トロワ パ・ド・ドゥ
PART 2 2ND PAS DE TROIS PAS DE DEUX
17. 第3部 カトル・デュオ
PART 3 QUATRE DUOS
18. 第3部 カトル・トロワ
PART 3 QUATRE TROIS
19. 第3部 コーダ
PART 3 CODA



アルバン・ベルク、関連投稿記事――

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/59865265.html アルバン・ベルク『ヴァイオリン協奏曲、室内協奏曲』。なんともロマン主義的絢爛に彩られた<革新>!?音楽だこと。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/61480252.html アルバン・ベルク『初期の7つの歌(1928年管弦楽版)』ほか。感動を与える原質は変わることなく、たしかにわが心を揺さぶるようだ。幾度聴いても凄い。この官能的なまでの美しさ。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/59625128.html アルバン・ベルク『初期の7つの歌(1928年管弦楽版)』ほか。ロマンの絢爛に彩られた音楽。その芳醇な美しさを思い知らされる。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/51892874.html アルバン・ベルクの『弦楽四重奏曲作品3』(1925)』『弦楽四重奏のための<抒情組曲>』。拮抗し緊張を湛えた抒情と潤いのある弦楽の響き。



Igor Stravinsky: Agon (2/2)