yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

ソフィア・グバイドゥーリナ『沈黙Silenzio/深い淵の底からDe profundis、ほか』。静かに激する、深く、はりつめた響きと音色。勁く撓む思索的な音楽造形。

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Gubaidulina "深い淵の底から De Profundis" part 1

               
    沈黙は何かが育っていく土壌である。
3年半ほどまえに≪民族性の遠い記憶を奏でるバヤン。宗教的でありノスタルジック、スピリチュアルな魅力。グバイドゥーリナ「Seven Words(for violoncello,bayan and strings)」ほか。≫とタイトルして投稿した。以下はその記事からの再掲引用。

【響きに耳そばだてる音への深い思いは宗教的ですらあり、それは私たちと感性的な同質性を感じさせる。ただペルトのようなヒーリング的親しみやすさのような静謐な宗教的神秘性はない。≪1980年代初頭に、楽曲構成の手段としてフィボナッチ数列を用いるようになる。この手順は、作曲原理が得られるだけでなく、形式の「息づかい」が許されるというので魅力的に感じられたらしい。≫(WIKIPEDIA)とあるように、情緒的感性面への音色傾斜だけではなく構造への論理(抽象)性にも志向性をイメージ 2もつようだ。そのぶんペルトほどの親しみやすさはないように感ぜられる。本CD収録3作品目のバヤン・ソロ「De Profundes(for bayan solo)」(1978)など聴くと資質の違いは歴然としているように思える。深く深く沈思し静謐に宗教性を謳うアルヴォ・ペルトに対して、情の激しさを隠そうとせず民族楽器バヤンの響きにそれらを託す姿は男性的・野生的ですらあるように思える。生まれはロシアのタタール自治共和国出身ということであり、≪野原に出ては作曲家になりたいと祈るかたわら、イコンに惹かれるような少女であったという。≫(WIKIPEDIA)】

楽器のもつ響きへの透徹した思考。認識論としての作曲、静謐さと深く激しい音響生成。≪瞑想的でもあり神秘的でもありといった、静かに激する、はりつめた響きと音色≫の野性。勁く撓む思索的な音楽造形。およそ女性の作品とはおもえぬほど・・・。

FMから流れていたグバイドゥーリナ(Sofia Gubaidulina, 1931 - )の「ヴィオラ協奏曲」にいたく感じ入り(これは傑作だ)、ネット図書館を検索したが、残念ながら所蔵されていなくて、きょうのアルバムとなった。



グバイドゥーリナ、関連投稿記事――

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/50607821.html 民族性の遠い記憶を奏でるバヤン。宗教的でありノスタルジック、スピリチュアルな魅力。グバイドゥーリナ「Seven Words(for violoncello,bayan and strings)」ほか。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/51115329.html ソフィア・グバイドゥーリナ。マージナルからの不安を穿つ、奥深くせつなる陰影をもった響きの生成。瞑想的でもあり神秘的でもありといった、静かに激する、はりつめた響きと音色。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/54306351.html グバイドゥーリナグレツキほかの東欧および旧ソ連圏作曲家の作品集『モザイクMOSAIC』(1996)。≪旧東側の作曲家たちの音楽に特有な、「聴きごたえ」とは一体、何なのか?≫

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/55004198.html ソフィア・グバイドゥーリナ『オッフェルトリウム Offertorium 』。祈りと哀しみに満ちた世界は霊妙な余情のうちに示現する。単なる意匠を越えた強靭な精神の裏づけにたじろぐことだろう。







ソフィア・グバイドゥーリナ SOFIA GUBAIDULINA 『沈黙Silenzio/深い淵の底からDe profundis/われ死者の復活を待ち望むEt exspecto/期待In Erwartung』

Sofia Gubaidulina
Silenzio. Five Pieces for classical accordion, violin and cello (1991) 1. I. 5'09
2. II. 2'38
3. III. 2'28
4. IV. 1'31
5. V. 8'03

6. De profundis (1978) for classical accordion solo 11'31

Et exspecto. Sonata for classical accordion solo (1985) 7. I. 2'42
8. II. 3'22
9. III. Presto 5'51
10. IV. 4'00
11. V. Con moto 1'30

12. In Erwatung (1994 for saxophone quartet and six percussionists (1994) 17'58

Arne Balk Møller, violin
Henrik Brendstrup, cello
Geir Draugsvoll, classical accordion
Kroumata Percussion Ensemble, percussion ensemble
Raschèr Saxophone Quartet, ensemble


Sofia Gubaidulina "Silenzio"1-3- pieces, ensemble Fandango( Russia,Moscow)