yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

ブラームス『歌曲集』(続)。分冊になっていた5枚目(全5枚)。尻切れで終わるのもおもしろくないということで・・・。

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Brahms:Der Gang zum Liebchen Op.48-1,Sonntag Op.47-3, Feldeinsamkeit Op.86-2 (Dietrich Fischer-Dieskau)

              


         ①恋しいひとのもとへ(Der Gang zum Liebchen) Op.48-1

         月が光を降りそそいでいる、
         ぼくはまたもや出かけずにはおれない、
         ぼくの大好きなひとのもとへ
         あの子はどうしているだろうか?

         ああ、あの子はひどく気を落として、
         歎きにくれていることだろう、
         もうぽくには一生の問
         会えないだろうなどと思って!

         月はもう沈んでしまったが、
         ぽくは眠りもやらず急いでゆく、
         誰かがぼくの大好きなひとを
         盗み出したりしないように。

         鳩よ、おお、ぽっぼと叫島け、
         微風よ、ざわめきの音を立てろ、
         誰かがぼくの大好きなひとを
         盗み出したりしないように!

         (ボヘミア民謡)



         ②日曜日(Sonntag) Op.47-3

         恋しい人の姿をば
         見ずにすごした一週間、
         戸口に立ってるあのひとを
         まえに日曜に見たっきり。
         なんともきれいなあの娘、
         ほんとにいとしい胸の花、
         会いたいものだ、今日はぜひ。


         あのほほえみが消えやらず
         胸にちらちら一週間、
         教会に行くみちすがら
         前の日曜に、見たっきり。
         なんともきれいなあの娘、
         ほんとにいとしい胸の花、
         会いたいものだ、今日はぜひ。

         (ウーラント Uhland 詩)



         ③野にひとりいて(Feldeinsamkeit)Op.86-2

         私はたけ高い緑の草の中にひっそりといこい、
         はるかにまなざしをあげて天をあおぐ
         絶えまないこおろぎの声にかこまれ、
         大空の青にこころよくつつまれながら。

         深い青を通って、美しい静かな夢のように
         きれいな白雲が向こうへ流れてゆく、
         自分がとうの昔に死んでしまっていて、
         至福に永遠の空間を旅しているような心地だ。

         (アルマース Allmers 詩)



一昨々日の≪ブラームス『歌曲集』。歌曲は芸術的でなくてはならないようで。高尚なんですね~。詩ではなく短歌、俳句のわが日本人。はてさて聴いてる人いったいどれ位いてるのかしらん・・・。≫と悪態ついているしりから、その続稿。分冊になっていた5枚目(全5枚)を借り受けてきた。せっかくの機会、尻切れで終わるのもおもしろくないという消極的な理由でしかないのだけれど。

それにしても≪エリーザベト・シュヴァルツコップをして「神に近い存在」と言わしめた。≫(WIKI)、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Dietrich Fischer-Dieskau, 1925 - )の歌唱はすごいです。




Brahms :I. Heimweh II (O wüsst' ich doch den Weg zurück), op. 63-8, II. Meerfahrt, op.op.96-4 (Dietrich Fischer-Dieskau)



①郷愁Ⅱ(Heimweh II)op.63-8

おお、ぼくが帰り道を知っていたら、
子供の世界に帰るあのなつかしい道を!
おお、なぜぼくはしあわせを求めて
母の手を離れたりしたのだろう?

おお、ぼくはどんなに憧れていることだろう
野望に駆られずに憩うことを、
疲れたまなこを閉じることを、
やさしく愛につつみこまれて!

一切の探求や詮索をわすれて
ひっそりと静かに、ただ夢見ることを、
時の移り行きに眼をふさいで
いま一度、子供に帰ることを!

おお、ぼくに帰り道を教えておくれ、
子供の世界に帰るあのなつかしい道を!
むなしくぼくはしあわせを求めている
いまぼくのまわりは'荒涼とした海辺だ!

(グロートGroth)


②船路(Meerfahrt)op.96-4

恋人よ、ぼくらは寄り添ってむつまじく
軽やかな小船に座っていたね。
静かな夜だった、ひろびろとした水の上を
ぼくらはあてもなく漂っていたね。

きれいな幻の島が、ぼんやりと
月あかりの中に浮かんでいた、
そこでは愛らしい楽の音がひびいて
おぼろな踊りの群れが波打っていた。

楽の音はいよいよたのしげにたかまり
踊りはあちらこちらと揺らいでいた――
だけど、その傍らを過ぎて、慰めもなく
ぼくらはひろい海を漂っていたね。

(ハイネ heine 詩)



引用邦訳歌詞、同梱冊子より。