yuki-midorinomoriの日記

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シューベルト:歌曲集『美しき水車屋の娘 D.795』。≪美しいとばかり云ってられない・・・。なにかしら哀しい明るさ・・・。≫

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Dietrich Fischer-Dieskau sings Der Müller Und Der Bach (水車屋と小川) from Die Schöne Müllerin

              

              車屋と小川 DER MULLER UND DER BACH

              車屋
              誠実な心が、愛の中に
              ほろんでゆくところでは、
              すべての花壇で
              百合が枯れるだろう。

              そこでは、満月も
              雲に隠れるにちがいない、
              その涙を
              人間に見られまいとして。

              そこでは、天使たちが
              眼をかたく閉じて、
              すすり泣きながら歌うだろう、

              哀れな魂に憩いあれ、と。


              小川
              そして愛が、苦痛から
              身をもぎはなすとき、
              ひとつの星、新しい星が
              大空にかがやくだろう。

              すると半ばは赤く、半ばは白い
              三輪のばらが、
              いばらの枝に咲き出て、
              再びしぽむことはないだろう。

              そして天使たちは
              翼をたたんで
              朝ごとに
              地上にくだるだろう。

              車屋
              ああ、小川、なつかしい小川よ、
              お前はやさしく慰めてくれる、
              ああ、小川よ、しかしお前は
              知っているのか、愛のしわざを?

              ああ、水の底、深い底には
              すがすがしい憩いがある!
              ああ、小川、なつかしい小川よ、
              ひたすらそう歌い続けるがいい。


これといって手に取るキッカケもなにもなかったのだけれど、いちどは通して聴いておこう程度の選択で・・・町の図書館で借りてきた。ューベルト(Franz Peter Schubert 1797 - 1828)の『美しき水車小屋の娘 Die schöne Müllerin 作品25、D795』。内容は≪「修業の旅に出た粉職人の若者が、美しい水車小屋の娘に恋をするが、狩人が現れて彼女を奪っていき、悲しく立ち去る若者は小川に語りかけ、永遠の眠りにつく」という物語≫(WIKI)なんだそうで。水車小屋の美しい娘の恋の物語と勝手に思い込んでいたのだけれど、そうではなく恋する青年の悲恋の物語だった。ところで、この歌曲集はシューベルトの三大歌曲≪「」・「白鳥の歌」と並び「シューベルト3大歌曲集」の一つ≫(WIKI)のよし。

このうち、あまねく知られたシューベルトの傑作歌曲集「冬の旅」は3年半ほど前に、以下投稿している。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/54618391.html ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ 『冬の旅』。もうすっかり、桜さく春ですが、「神に近い存在」(シュヴァルツコップ)と賛された極め付きの歌唱表現を鑑賞する。


≪「シューベルトの音楽は片目で笑い片目で泣いている」(WIKI)と言われているようだけれど、その明るさと哀しみの同在が魅力といえるのだろう。美しいとばかり云ってられない・・・。なにかしら哀しい明るさ・・・。≫とは以前投稿した記事≪フランツ・シューベルト『ピアノ・トリオ第1&第2番/アルペジオーネ・ソナタ 』(1997) 。美しいとばかり云ってられない・・・。なにかしら哀しい明るさ・・・。≫で言ったことだった。


31才という短い生涯の死に至らしめた病に臥した頃(26才)の作品のよし。困窮とにじり寄る死の不安、影がうつくしくも哀しい。


いまさらながら、いわずもがなのフィッシャー=ディースカウ の歌唱のすばらしさ・・・。





シューベルト:歌曲集『美しき水車屋の娘 D.795(DIE SCHONE MULLERIN D.795)』

1. フランツ・ペーター・シューベルト:歌曲集「美しき水車屋の娘」D.795 1.さすらい
NO.1: DAS WANDERN
2. 2.どこへ?
NO.2: WOHIN?
3. 3.止まれ!
NO.3: HALT!
4. 4.小川への感謝
NO.4: DANKSAGUNG AN DEN BACH
5. 5.仕事を終えて
NO.5: AM FEIERABEND
6. 6.ききたがり屋
NO.6: DER NEUGIERIGE
7. 7.いらだち
NO.7: UNGEDULD
8. 8.朝の挨拶
NO.8: MORGENGRUs
9. 9.水車屋の花
NO.9: DES MULLERS BLUMEN
10. 10.涙の雨
NO.10: TRANENREGEN
11. 11.ぼくのもの!
NO.11: MEIN!
12. 12.休み
NO.12: PAUSE
13. 13.緑のリボンで
NO.13: MIT DEM GRUNEN LAUTENBANDE
14. 14.狩人
NO.14: DER JAGER
15. 15.ねたみと誇り
NO.15: EIFERSUCHT UND STOLZ
16. 16.好きな色
NO.16: DIE LIEBE FARBE
17. 17.いやな色
NO.17: DIE BOSE FARBE
18. 18.しぼんだ花
NO.18: TROCK'NE BLUMEN
19. 19.水車屋と小川
NO.19: DER MULLER UND DER BACH
20. 20.小川の子守歌
NO.20: DES BACHES WIEGENLIED




Music: Schubert-'Die schone Mullerin Op.25 D 795 -Die Liebe Farbe (好きな色) '
Dietrich Fischer-Dieskau/Gerald Moore


好きな色 DIE LIEBE FARBE

僕は緑を身にまといたい、
しだれ柳の涙にぬれた緑を、
僕の恋人は緑が大好きなんだ。
僕はたずねたい、糸杉の森を、
緑のローズマリーの繁る荒野を、
僕の恋人は緑が大好きなんだ。

心たのしい狩に出かけてゆこう!
荒野や薮わらを駆けめぐろう!
僕の恋人は狩が大好きなんだ。
僕の追うけもの、そのけものは死、
かけめぐる荒野、その名は愛の苦痛―
僕の恋人は狩が大好きなんだ。

芝生の墓に僕を埋めてくれ、
緑の芝で僕を覆ってくれ、
僕の恋人は緑が大好きなんだ。
黒い十字架も、とりどりの花もいらない、
何もかも緑で埋めつくしてくれ、
僕の恋人は緑が大好きなんだ!


(以上邦訳歌詞は同梱解説書より)



Dietrich Fischer-Dieskau sings Pause from Die Schöne Müllerin
http://www.youtube.com/watch?v=bK_gYsQXrR8