yuki-midorinomoriの日記

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間宮芳生(まみやみちお)『合唱のためのコンポジション第一番~第六番』(1958-'68)。明治近代化以来の西洋音楽イディオムと我が民俗性との格闘探求から成った間宮芳生の「合唱のためのコンポジション」。

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合唱のためのコンポジション 第3番 Ⅲ 引き念佛 間宮芳生 作曲

              

≪私が通った旧制青森県立青森中学に、教科書を節つきで調子も面白く音読して聞かせてくれる風変わりな国語教師がいた。・・・作家太宰治が同じ青森中学の卒業で、ほぼ二十年私の先輩なのだが、彼も橋本氏の国語の授業を受けたことがあったのだそうである。敗戦直後の一九四五年か四六年、私がまだ在学していた頃の母校に一度太宰治がたずねて来て、講話をしてくれたことがあった。その時の話のなかに、中学生だった太宰が受けた橋本氏の授業の話があったのをよく覚えている。だから多分、彼もまた私と同じようにあのメロディーつきの教科書音読を聞いたはずである。≫(間宮芳生「現代音楽の冒険」・岩波新書)

もう3年近くもなるのか。≪間宮芳生(みちお)『無伴奏チェロ・ソナタ』(1968-69)、「無伴奏ヴァイオリンソナタ」(1970)。≪武骨で剄い美しさ≫。矜持、気骨の美学。≫とタイトルして投稿したのだった。武満世代の我が誇るべき作曲家の一人なのだけれど、認知の度合いの低いのが惜しまれる (もっとも、動画サイトを覗いて、そのアップロードされている件数の少なさから、私が推測しているだけなのだけれど) 。ただ、野坂昭如原作の名作アニメーション映画「火垂るの墓」の心に残る音楽を作曲担当した作曲家といえば了解いただけるだろうか。
その作曲家のわが国の民俗音楽研究から精華された合唱音楽集がきょう投稿する『合唱のためのコンポジション第一番~第六番 Compositions for Chorus(1958-'68)』(3枚組)。宣伝の帯には<明治百年記念芸術祭参加>とある。明治百年と謳うのが、やはり民俗的曲趣のこの曲集にふさわしいのかも。

さまざまな共同体的な紐帯の崩壊変容にあって民俗性が希薄になってきている現代社会。果たして、これらの合唱曲が、今どれほど歌われているのか知りませんが・・・。とはいうも、<祭り>、イヴェントは津々浦々活況と見えはする。

そんななか、明治近代化以来の西洋音楽イディオムと我が民俗性との格闘探求から成った間宮芳生の「合唱のためのコンポジション」連作は、その真摯な精華として私たちは大いに讃すべきと思われる。







間宮芳生『合唱のためのコンポジション第一番~第六番Compositions for Chorus』(1958-'68)

1.Side-A
合唱のためのコンポジション 第一番
1. I 4:55
2. II 3:33
3. III 4:53
4. IV 3:52
choir:東京混声合唱
cond.:岩城宏之

1.Side-B
1.合唱のためのコンポジション 第二番 18:44
choir:東京混声合唱
cond.:岩城宏之
flute:峰岸荘一/percussions:勝亦健,熊谷弘,佐藤英彦,山口保宜

2.Side-A
合唱のためのコンポジション 第三番
1.艫 4:12
2.羯皷 5:32
3.引き念佛 4:10
choir:東京混声合唱団, 東京放送合唱団
cond.:岩城宏之

2.Side-B
合唱のためのコンポジション 第四番 子供の領分
1 I 4:11
2 II 5:27
3 III 1:47
4 IV 2:56
5 V 4:50
choir:東京放送児童合唱団
cond.:岩城宏之
orchestra:読売日本交響楽団

3.Side-A
合唱のためのコンポジション 第五番 鳥獣戯画
1. I 4:07
2. II 5:00
3. III, IV 7:05
choir:東京混声合唱
cond.:岩城宏之
percussions:有賀誠門,百瀬和紀
contrabass:中博昭

3.Side-B
合唱のためのコンポジション 第六番
1. I 4:30
2. II 2:25
3. III 6:26
choir:東京混声合唱団, 東京放送合唱団
cond.:岩城宏之





合唱のためのコンポジション 第1番 Ⅰ 間宮芳生 作曲