yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

青柳 いづみこ『グレン・グールド―未来のピアニスト』(2011・筑摩書房)。作曲家の作品(楽譜)以上に音楽を超脱せんと、その逸脱ぶりで人を少なからず面食らわせたグールド。その哲学と精神は・・・。

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Gould Beethoven Piano Concerto No.1(3/3) Glenn Gould(P)、Vladimir Golschmann (C)、Columbia Symphony Orchestra

             
             お~なんと清々しく颯爽とした快速ベートヴェンだこと!

ピアニストであり研究家であり、エッセイストでもありと多才な青柳 いづみこ(あおやぎいづみこ、1950 - )の最近著された『グレン・グールド―未来のピアニスト』(2011・筑摩書房)が町の図書館の新刊コーナーにあったので借り受けて読んだ。なんせわが耳タコの「奇人変人」な稀代の天才ピアニストの本だ。一冊ぐらいはカチッと読もうと・・・(過日≪『グレン・グールド ア・ライフ・イン・ピクチュアーズ』ソニー・マガジンズ)。その存在がピュアーなだけに清廉、すがすがしい気分だ。凡俗から遠い天才の人生なのだけれど≫と写真集を投稿していますが)。スタジオレコード演奏家として、コンサート・ステージ聴衆から身を隠す以前のステージ演奏時代の貴重な音源、それにプロとして活動する以前も含めての新たに発掘された音源、資料などを駆使してグールドの投げかけた問題に省察を加えて著された興味深い読み物だ。(最近にわかに、まさに雨後の筍のごとく、そうした初期のステージ演奏(動画)音源が非正規?のものも含めてアップロードされている。イイコトデス。)

コンクールで賞を取ることを目指すこともなく、人を唸らせるごときのヴィルトーゾを競うこともせず、敢然とステージを降り、(やり直しの効く)レコードスタジオに芸術創造(理念)を委ねたグールド。作曲家の作品(楽譜)以上に音楽を超脱せんと、その逸脱ぶりで人を少なからず面食らわせたグールド。その哲学と精神は・・・、おもしろく読めた。

「諸君がすでに学ばれたことやこれから学ばれることのあらゆる要素は、ネガティヴの存在、ありはしないもの、ありはしないように見えるものと関わりあっているから存在可能なのであり、諸君はそのことを意識しつづけなければならないのです。人間についてもっとも感動的なもの、おそらくそれだけが人間の愚かさや野蛮さを免罪するものなのですが、それは存在しないものという概念を発明したことです」(グレン・グールドトロント・ロイヤル音楽院卒業式祝辞)

私たちを、スリリングに音楽を愉しませる「奇人変人」な稀代の天才ピアニスト、グレン・グールド

まさしく宇宙に向かって飛翔≪グールド演奏によるバッハの「平均律」第2巻 前奏曲とフーガ第1番ハ長調の録音が、未知の地球外知的生命体への、人類の文化的傑作として宇宙船ボイジャー1号・2号にゴールデン・レコードとして搭載された。≫(WIKI)するにふさわしい。



The madness of genius Glenn Gould (1)