yuki-midorinomoriの日記

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『伝統音楽のすすめ~名人演奏と共に~ 清元・新内・琵琶・端唄』。数あるなか薩摩琵琶の「須磨の浦」を。語りの凄さ、歴史のタマシイ、余韻が琵琶の音とともにビンビンと伝わってきます。

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琵琶 須磨の浦

               

≪「平家物語」の中でももっとも哀れをさそう場面。須磨の浦での源平の戦いに、無官の太夫敦盛が熊谷次郎直実に討たれる。世の無常を知った熊谷は出家する。≫


               祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
               沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす。
               騎れる者久しからず、ただ春の夜の、夢幻の如くなり。

               源平須磨の戦いに、平家の運は夕陽の、
               傾く中をひとしおに、ものの哀れを留めしは、
               無官の太夫敦盛とこそ聞こえけれ。

               さるほどに熊谷次郎直実は、
               名ある武将を討たばやと、伺う内に渚の方、
               御座船目指す武者一騎、こはよき敵、
               それに落ちさせ給うは、平家方の御大将と見奉る。
               返させ給え戻させ給え、おおい、おおいと日の丸の、
               扇をあげて招きけり。

               呼ばれて敦盛せん方なく、敵に後ろを見せまじと、白波蹴立
               てて、水際へ向けてぞ返しける。

               早くも岸に近づくを、熊谷待ち受け、
               馬上ながらもむんづと組み、互いに交わす声のうち、
               一度に鐙(あぶみ)を踏みはずし、両馬が間にどうと落ち、
               寄せては返す波の如く、上よ下よと揉んだりけり。

               剛気の熊谷、敦盛を、いともたやすく取って押さえ、
               兜つかんで打ち見れば、思いもかけぬ十五六。

                             (以上、同梱解説より)


先日に引きつづき邦楽。『伝統音楽のすすめ~名人演奏と共に~ 清元・新内・琵琶・端唄』をネット図書館にて借り受け鑑賞。収録曲のほとんどみんなオモシロイのだけれど、きょうは、薩摩琵琶の「須磨のイメージ 2浦」。テレビで平清盛が放映されているからというわけではゴザイマセン。音楽がすばらしいという理由でなんですが。それもそのはずで、演者は、鶴田錦史。そうです、武満徹の「ノヴェンバー・ステップス」で、その名を知らしめた数奇孤高の薩摩琵琶の天才奏者です。ドシロウトが言うのもなんですがみごとなものです。語りの凄さ、歴史のタマシイ、余韻が琵琶の音とともにビンビンと伝わってきます。






『伝統音楽のすすめ~名人演奏と共に~ 清元・新内・琵琶・端唄』

1. 神田祭SP盤復元|清元)
[演奏](三味線)清元正寿郎
(上調子)清元一寿郎
(浄瑠璃)清元志寿太夫

2. 浅間(初霞浅間嶽)(明治43年SP盤復元|清元)
[演奏](三味線)清元梅吉
(上調子)清元梅二郎
(浄瑠璃)(五世)清元延寿太夫

3. 蘭蝶(新内)
[演奏](三味線)新内仲三郎
(上調子)富士松菊三郎
(浄瑠璃)新内志賀太夫
(浄瑠璃)新内志鳳太夫

4. 桜狩(筝曲 山田流)
[演奏](三弦)五代山勢松韻
(箏)高橋栄清
(箏)上原真佐喜
(歌)五代山勢松韻
(歌)高橋栄清
(歌)上原真佐喜

5. 八重衣(箏・三弦・尺八 三曲合奏)
[演奏](尺八)山本邦山
(三弦)藤井久仁江
(箏)米川敏子
(歌)藤井久仁江

6. 鐘の岬(荻江節
[演奏](三味線)荻江ふみ
(三味線)荻江みつ
(唄)荻江あや
(唄)荻江せつ
(唄)荻江寿々雛

7. 荒神経訓読(廻壇琵琶)
[演奏](語り)吉田法瑞

8. 須磨の浦(薩摩琵琶)
[演奏](語り)鶴田錦史
(琵琶)鶴田錦史

9. 茨木(筑前琵琶
[演奏](語り)山崎旭萃
(琵琶)山崎旭萃

10. 綱は上意(歌沢)
[演奏]哥沢芝金
哥沢芝穣

11. 木遣りくずし(端唄)
[演奏](三味線)本條秀太郎
(唄)神田福丸
(笛)福原洋子
(鳴物)堅田喜三久社中

12. 梅にも春(SP盤復元|端唄)
[演奏](唄)藤本二三吉

13. 葉桜や・八重一重(SP原盤復元|小唄)
[演奏]春日とよ栄
春日とよ松
(唄)春日とよ

14. 都々逸(SP原盤復元|都々逸)
[演奏](三味線)小靜
15. 水音(歌舞伎音楽)
[演奏](鳴物)堅田喜三久社中

16. 浪音(歌舞伎音楽)
[演奏](鳴物)堅田喜三久社中

17. 雨音(歌舞伎音楽)
[演奏](鳴物)堅田喜三久社中

18. 滝音(歌舞伎音楽)
[演奏](鳴物)堅田喜三久社中

19. 風音(歌舞伎音楽)
[演奏](鳴物)堅田喜三久社中

20. 雪音(歌舞伎音楽)
[演奏](鳴物)堅田喜三久社中

21. 幽霊(ドロ・ネトリ)(歌舞伎音楽)
[演奏](鳴物)堅田喜三久社中

22. 葛の葉二度目の子別れ(説教節)
[演奏](語り)薩摩若太夫





1 一の谷の軍(いくさ)破れ
  討たれし平家の公達(きんだち)あわれ
  暁寒き須磨(すま)の嵐に
  聞こえしはこれか 青葉の笛

2 更くる夜半に門(かど)を敲(たた)き
  わが師に託せし言(こと)の葉あわれ
  今わの際(きわ)まで持ちし箙(えびら)に
  残れるは「花や今宵」の歌


  「笛 の 音 に 波 も よ り 来 る 須 磨 の 秋」 蕪村



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