yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

グリーグ『歌曲集』。「・・・そしてそれらすべては彼女(妻・ニーナ)のために書かれたのです。」

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Birgit Nilsson sings Våren by Edvard Grieg

              

春 Våren 作品33の2 (1880)
オスムン・オラヴソン・ヴィニエ Aasmund Olavsson Vinje

なおもう一度 私は見ることができた 冬が
春に道をゆずるのを
かつて 花が咲いたウワミズザクラの木に
花咲くのを 私は見た
なおもう一度 私は見ることができた 氷が
地面から浮くのを
雪が解け 滝が川に
落ちて解けるのを

なおもう一度 私は緑の草を
花と共に 眺めることができた
なお私は 春の鳥が歌うのを聴いた
太陽に向かい 東に向かって
いま一度 私は春のたゆとうもやの中で
私の眼を満たしながら
いま一度 私はそこに ふるさとを見出したいとのぞむ
また 泳ぐように 浴(ゆあ)みしたいと
春が私の方へ 運んでくれたすべてのもの
そして 私が摘んだ花
それは 父祖の霊だと 私は信じた
それは 踊りそしてため息をついた
それゆえ 私は樺と常緑樹(ときわぎ)の間に見出した
春の中に 一つの謎を
それゆえ 私が作った笛の音は
私には 泣いているように思われた



   エドヴァルド・グリーグ:歌曲集
            フィン・ベーネスタ

 私は他の音楽のジャンル以上に歌曲を作曲することにかけて、より大きな才能を持っていたとは思いません。ではなぜ私の音楽の中で歌曲がそんなにきわ立った役割を演じているのでしょうか。きわめて単純にそれは他の人達同様私が(ゲーテの言葉を借りるなら)私の生涯のある時に天才を与えられていたからです。そしてそのひらめきは愛でした。私はすばらしい声とそれと同じくらいすばらしい解釈者としての才能をもったひとりの若い女性を愛したのです。この女性は私の妻となり、今日までずっと私の人生の伴侶であり続けています。彼女はおそらく私の歌曲の唯一の真の解釈者です。・・・・・・私の歌曲は自然にそして自然法のような必然性をもって生命を得ました。そしてそれらすべては彼女のために書かれたのです。
     
   アメリカの伝記筆者のヘンリー・T.ファンクにあてたドイツ語の手紙(1900年7月17日)より


わたしにとって北欧の作曲家の双璧なすシベリウスグリーグ。どちらも好きな作曲家だ。

先日その一人のシベリウスの歌曲を投稿したということもあり、きょうは、もうひとりのグリーグの『歌曲集』。気負いがなく旋律が前面に出てわたしのような弩素人にはまだしも親しみがもてる。


投稿アルバムの音源を貼り付けて共に鑑賞したいのだけれど、所属レーベルの縛りのためか、貼り付け不可になっている。残念。最も好きな女性歌手のひとり、アンネ・ソフィー・フォン・オッター Anne-Sofie von Otter, 1955 - )。





グリーグ『歌曲集』

1. 「山の娘」op.67~アーネ・ガルボルグの詩による歌曲集(ニューノシュクによる歌唱)
2. 6つの歌op.48
3. ヘンリク・イプセンの6つの詩による歌曲op.25~第2曲 白鳥/第4曲 睡蓮に寄せて(ブークモールによる歌唱)
4. ヨン・パウルセンの5つの詩による歌曲op.26~第1曲 希望(ブークモールによる歌唱)
5. オスムン・オラヴソン・ヴィニエの詩による12の旋律集op.33~第2曲 春(ブークモールによる歌唱)
6. ヴィルヘルム・クラーグの5つの詩による歌曲op.60~第3曲 待ちながら(ブークモールによる歌唱)
7. 7つの子供の歌op.61~第3曲 呼び声(農場の歌)(ブークモールによる歌唱)
8. オスムン・オラヴソン・ヴィニエの詩による12の旋律集op.33~第5曲 流れに沿って
9. ロマンス集op.39~第1曲 モンテ・ピンチョから(ブークモールによる歌唱)
10. アンデルセンの詩による「心の旋律集」op.5~第1曲 ふたつの茶色の眼/第3曲 きみを愛す(デンマーク語による歌唱)
11. ホルゴ・ドラグマンの6つの詩による歌曲op.49~第6曲 春の雨(デンマーク語による歌唱)




Elisabeth Schwarzkopf - Ich liebe dich (Grieg)



きみを愛す Jeg elsker Dig 作品5の3
ハンス・クリスチャン・アンデルセン

わたしの思いの思いはただきみのみとなる
きみはわたしの心の最初の愛
わたしはきみを愛する この世の誰にもまして
わたしはきみを愛する 今も そして永遠に!

  (邦訳歌詞は同梱解説書より)

グリーグ最愛の妻ニーナへの捧げものなんだそうで・・・。ちょいとこそばゆい?ですが。