yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

『芝祐靖の音楽 復元正倉院楽器のための 敦煌琵琶譜による音楽』。ウ~ん、こりゃ近代ではないの?。分かりやす過ぎる違和感のない旋律がかえってそうした印象をもたせる。

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きのう、舞楽『春鶯囀一具(しゅんのうでんいちぐ)』といっしょにネット図書館で借り受けた『芝祐靖の音楽 復元正倉院楽器のための 敦煌琵琶譜による音楽』。べつに雅楽ではないのだけれど・・・。タイトルを見てのとおり復元正倉院楽器のための音楽。それも中国はシルクロードの、敦煌の遺跡から発掘された琵琶譜にインスパイアされて想像たくましく今に作曲された曲集。後代に遺された伴奏譜としての琵琶譜の隙間を、現代人の思い巡らした旋律で埋め合わせ奏でられたシルクロード・アジア、唐代の音楽・・・と銘うたれているのだけれど。

ウ~ん、こりゃ近代ではないの?。分かりやす過ぎる違和感のない旋律がかえってそうした印象をもたせる。近代の音楽がもつ整除された語彙で旋律を奏でられると、それが古代の復元楽器であればこそ、なんだかそぐわない居心地の悪さを感じてしまう。

此処に流れているのは水平の時間で、垂直に降りてゆく時間ではないと言えそうだ。遺物、文字とちがって音は形として残らない。数百年前のそれらの再現すら覚束ないのでは・・・。
したがって、今という時代意識、感覚(近代の音楽構造等)にとらわれず、在ったであろう音、響きを捉まえようとすれば時代意識、感覚を括弧にくくって(留保して)垂直に掘り下げる以外にない・・・と、思うのだけれど。(ということは、復元再現ではなく現代の創造音楽?)

とはいえ、このアルバムのような試み意気果敢は、それとして貴重であるのは言うまでもないことなのだけれど。





芝祐靖の音楽 復元正倉院楽器のための 敦煌琵琶譜による音楽』
演奏:伶楽舎

1. 急胡相問 (きゅうこそうもん)
2. 傾盃楽 (けいばいらく)
3. 風香調 調子 (ふうこうちょう ちょうし)
4. 西江月 (さいこうげつ)
5. 慢曲子 (まんきょくし)
6. 心事子 (しんじし)
7. 伊州 (いしゅう)
8. 急曲子 (きゅうきょくし)
9. 長沙女引 (ちょうさじょいん)
10. 水鼓子 (すいこし)
11. 傾盃楽 (琵琶独奏) (けいばいらく)




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