yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

カール・オルフ『カルミナ・ブラーナ』。「おお運命よ、月のように姿は変る、常に満ち常に欠ける。・・・」。冒頭、一度聴いたら忘れられない高揚感。ツカミはOK!。

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(HD) Carl Orff - Carmina Burana | O Fortuna | Berliner Philharmoniker, Sir Simon Rattle

       

           運命、世界の王妃よ

           おお、運命よ O Fortuna

           おお運命よ
           月のように
           姿は変る
           常に満ち
           常に欠ける。
           不快なこの世にも
           つらいのは一時
           次には気まぐれに
           遊戯の心に味方する
           貧乏も
           権力も
           しょせん氷のように溶かし去る。

           恐ろしい
           空ろな運命よ
           汝はめぐる車のようだ。
           汝は悪しき状態のもとに
           すこやかなるものを病まし
           思うがままにくだき去る、
           蔭をまとい
           ヴェールにかくれた姿で
           汝は私をも悩まさずにおかない
           では汝のまないたの上に
           この裸なる背中をさらし
           汝の悪行に委ねるとしよう。

           すこやかなる健康の恵みも
           たくましき力も
           汝運命は私からむさぼり
           おかし
           さいなむ
           すべて思うがままに、
           今こそ
           ただちに
           弦をかき鳴らし、
           運命の車輪の下
           強者を亡ほせし者を呪いて
           皆の者よ、私とともに泣くがよい!


           運命は傷つける Fortune plango vulnera

           吾は運命の傷に泣く
           目にあふれる涙
           かつて与えてくれた恵みを運命は
           ふたたび背いて奪い去る。
           真実、書にもいわく、
           「黒髪豊かな若者も
           時くれば失う
           その髪を」と。
           運命の玉座

           かつて私は誇らかに坐っていた、
           繁栄の色とりどりの
           花で飾られていた。
           だがかつていかに栄え
           幸福と恵みに満ちていようと
           今はその頂から転落してしまった
           名誉も奪われてしまったのだ。

           運命の車は回る。
           ある者はその下にさらされ、
           ある者は高きに昇る。
           いとも誇らかに
           王は頂に坐っている――
           だが破滅を警戒するがよい!
           運命の車軸にあきらかに
           記されし女王ヘクバの名。

              (歌詞邦訳同梱解説より)



そも【「カルミナ・ブラーナ」とは11世紀後半から13世紀初頭に作られた「ボイレンの歌謡集」という意味だが、中世ヨーロッパを支配したキリスト宗派ベネディクト修道会に属するバイエルン地方のベネディクト・ボイエルン修道院を通じて、その写本が今日に伝わったものだ。もとは、周辺地域を渡り歩く放浪学生や若い聖職者によって、ラテン語やドイツ語、古フランス語等によって書かれたもので、恋愛詩、飲酒遊戯詩・道徳詩、風刺詩、抒情詩など300もの詩が収められている。】(同梱解説より)

イメージ 2それらを題材に【人生の普遍的テーマとしての、「春(自然と青春)」、「酒(苦悩と日常生活)」、「愛(男女とエロス)」】をカンタータとして謳いあげたのがカール・オルフ(Carl Orff、1895 - 1982)の『カルミナ・ブラーナ<楽器の伴奏を持ち、舞台場面によって補われる独唱と合唱の為の世俗的歌曲>』のよし。

冒頭よりオスティナートを使った高揚感ともなう力強い躍動するフレーズは、一度聴いたら忘れられないほど印象的だ。ツカミはOK!といったところか。

ベートーヴェン第5<運命>の冒頭のダダダダーン。バッハの「トッカータとフーガ・ニ短調 BWV 565」、「2001年宇宙の旅」で印象的なリヒャルト・シュトラウスの「ツァラストラはかく語りき」 の冒頭・・・。これらとおなじくらいインパクトをもち、したがってクラシックファン以外にも親しまれている・・・。


一昨日は鮮明鮮烈なストラヴィンスキーの「春の祭典」をサイモン・ラトルで聴いたのだけれど、きょうのカール・オルフカルミナ・ブラーナ』も、そのサイモン・ラトルベルリンフィルを揮っているということでネット図書館で借り受けての鑑賞となった。

まこと、演奏も曲も、人生賛歌みなぎる活力に、快哉




Carmina Burana / O Fortuna. Simon Rattle, Berliner Philharmoniker        



カール・オルフカルミナ・ブラーナ

1. おお、運命よ
2. 運命は傷つける
3. うつくしき春
4. 太陽はすべてをいたわる
5. 春の訪れ
6. 踊り
7. 気高き森
8. 店の人よ、私に紅をください
9. 輪舞-輪になって踊る-おいで、私の恋人-輪になって踊る
10. 世界が我が物になるとも
11. 怒りに、心収まらず
12. 焙られた白鳥の歌
13. 予は大僧正様
14. われら、居酒屋にあっては
15. 愛の神はいずこにも飛び切り
16. 昼、夜、そしてあらゆるものが
17. 赤い胴着の乙女が立っていた
18. 私の心はため息みつ
19. 若者と乙女がいたら
20. おいで、おいで
21. ゆれ動く、わがこころ
22. 楽しい季節
23. 私のいとしいひと
24. たたえよ美しきものよ
25. おお、運命よ