米国フリージャズの巨人セシル・テイラーに、日本のノーベル賞と称される京都賞(京セラ・稲盛財団)を授与。
Cecil Taylor - Free Improvisation #3 (1981)
つい最近、我が国を代表する現代音楽作曲家の諸井誠、それに三善晃のたてつづけの訃報を知り、時代は確実に世代交代の歩みを自然の節理として歴史に刻んでいるのを知らされたのだったけれど、そんな中、たまたまネットを覗いているうちに、日本が世界に発するノーベル賞との世評高い京セラ・稲盛財団の授与する第29回(2013)京都賞の思想・芸術音楽部門で、米国フリージャズの象徴的存在セシル・テイラー(Cecil Taylor)(1929-)に授与されているのを知ったのだった。とうとう、今になってやっとその功績が認められたか…と、長年追っかけてきたいちファンとして嬉しいかぎり。
以下の受賞理由、コメントがあった。
≪【ピアノによる即興演奏の可能性を極限まで追求した革新的なジャズ・ミュージシャン】
フリー・ジャズの代表的なピアニストとして、従来のイディオムによらない革新的な即興演奏を、独特の音楽構成と打楽器的な演奏スタイルによって生み出し、ジャズに新たな可能性を切り拓いた。長年にわたって妥協することのない孤高の道を歩んできた芸術家であり、卓越した演奏技術と強靭な精神力から生み出される生命力あふれる演奏は、音楽の広い分野に多大な影響を及ぼしてきた。≫
ところで、この京都賞の<音楽> 部門での過去の受賞者は以下の通り。それらの傑物に伍するものとして評価されたと思うとフリージャズファンとしては嬉しいことこの上ないのだけれど、しかし一方で、斯くなるマイナーなフリージャズの革新的ピアニストを音楽史上の評価を与えた選考メンバーとは、いったいどのような面々なのかと気になるところではある。
【 第1回(1985年)
オリヴィエ・メシアン(フランス、1908-1992)
第5回(1989年)
第9回(1993年)
第13回(1997年)
イアニス・クセナキス(フランス、1922-2001)
第17回(2001年)
第21回(2005年)
第25回(2009年)
ピエール・ブーレーズ(フランス、1925-)
第29回(2013年)
セシル・テイラー関連投稿記事――
http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/62161119.html セシル・テイラーユニット『Akisakila - In Japan』(Trio /1973)。熱気はあるのだけれど、初来日という気負いのせいかそんなにいいパフォーマンスのものではありません・・・。
http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/45678836.html 無調に崩れかけて耳障りであり、引っ掛かりがあって面白いセシル・テイラーのピアノソロを聴く『COLTRAINE TIME』(1958)。
http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/58771748.html セシル・テイラー『Looking Ahead!』(1958)。3年前のファーストアルバム『Jazz Advance』同様、思い入れのある分、今なお清新。
http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/39405982.html トリッキーでアグレッシヴ、はつらつ清新の革新者セシル・テーラーの『Cecil Taylor Buell Neidlinger Newyork City R&B』(1961)
http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/58329312.html セシル・テイラー『パリコンサート』(1966)。ピアノの内部奏法を多用しての現代音楽に限りなく近づいたパフォーマンスの果敢が聴きもの。驚きであり、貴重であり、快哉だ。
http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/54102723.html 歴史的な意義をもつアメリカのコレクティヴジャズの実践『THE JAZZ COMPOSER'S ORCHESTRA』(1968)。しかし正直、このアルバムはセシル・テイラーの圧倒するソロにより記憶される
http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/55337748.html セシル・テイラー『NUITS DE LA FONDATION MAEGHT Vol.1』(1969)。演奏内容が良いんだか、悪いんだか。秀逸のジャケット聴き。
http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/59378646.html セシル・テイラー『NUITS DE LA FONDATION MAEGHT Vol.3』(1969)。サム・リヴァースのサックスが凄い。ともども此処には熱いセシル・テイラーがいる。
http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/56222337.html セシル・テイラー絶頂期の73年のアルバム『INDENT』(from 1973 at Antioch College in Ohio)。セシル・テイラーの本領はいうまでもなくソロ・パフォーマンスにある。
http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/60320062.html セシル・テイラー『Spring Of Two Blue-J's』(1973)。この時期のピアノ・ソロパフォーマンスは連山の頂。決然の濁ったところが露ほどもない明快さと、パワフルさで豪快に突っ走る壮快。
http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/53148832.html セシル・テイラー『Silent Tongues』(1974)。たぶんこの時期、45才円熟のピアノソロベストパフォーマンスと思われる。
http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/59460103.html セシル・テイラー『Dark to Themselves』(1976)。ひじょうに聴きやすく親しみのもてるセシル・テイラーといっておこうか。ズバリ分かりやすい!
http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/60483911.html 『セシル・テイラー・オールスターズ・ウィズ・ブエル・ネイドリンガー 』(1961)。とりわけ「O.P.」での無調パーカッシヴでダイナミックレンジなピアノに革新の意気横溢するセシル・テイラーは聴きもの。
http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/60716228.html セシル・テイラー『Nefertiti, The Beautiful One Has Come』(1962)。ほぼ半世紀!前の録音アルバム。はたして、それ以降ジャズに進歩はあったのかといいたくなるほど。
http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/60886353.html セシル・テイラーほか『Piano Modern』(VSP-13) 。今聴きなおしても、贔屓の引き倒し、思い入れの強さゆえもあるかも知れないが、やはりセシル・テイラーだ。この革新のピアニズム。
http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/60935741.html セシル・テイラー『Solo』(1973)。超出の意思、そのランダムな美。この乱打、無秩序に等しい音の流れの底に見え隠れするリリシズムこそが、愛すべき、信ずべき本源だ。
http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/61879202.html セシル・テイラー&ギル・エヴァンスオーケストラ『Into The Hot』(1961)。セシル・テイラーのパフォーマンス在るゆえのジャズ史的一枚。