様々な意匠の斬新な音響が深く重く力強く持続力を持って移ろい押し寄せてくるクラウス・フーバー『TEMPORA(KONZERT fur Violone und Orchester)』（1969)
クラウス・フーバーklaus huber
今ヘッドフォーンで今日取り上げるアルバム、スイスの現代音楽作曲家クラウス・フーバーklaus huber(1924-)を聞いている。およそ4千円程度の安物であるが、いい音がしている。といっても聞き比べてというより高価なものがどの程度か知らないので、なんとも根拠の無い勝手な自己評価だけれど。ヘッドフォーンはスピーカーで聴いているよりメリハリがあり、集中して聴くことができる。概ねブログを綴るのはヘッドフォーンを聴きながらである。若いときはそれなりに薀蓄をたれ、自分の懐なりの高価なシステムをそろえ聴いていた。垂涎の真空管のマランツとかJBLやタンノイ、DENONのターンテーブルなどとそこまでは懐がゆるさなかったけれど。こうなると家という器、リスニングルームとやらまでいじる羽目になりかねない。ところがである、その薀蓄のシステムは埃をかぶったままで、実際に聞いているのは、大ごみで拾ってきたシステムのものである。それも２セットともそうである。(ということは計３セットということになる、全部違う場所に設置してあるのだけれど)もちろん不具合があっての放擲ごみ処分だったのだろう。ダイヤル接触の不具合や、トゥイーターの片方不具合とか程度のもので、大いに使い堪能させてもらっている。タダのものだから文句は言えない。ノイズをも音楽として聞く現代音楽ファンだ。これで十分だ。さて前置きはこれくらいで本題。今日紹介するクラウス・フーバーは世代的にはブーレーズ、シュトックハウゼンらとおなじであるが、世に出てきたのは比較的遅く７０年代に入ってからである。彼が≪真に自己の個性に開眼し、なおかつ作曲家として認められるようになったのは、1970年代に前衛が停滞して「作家性」が求められる時代に入ってからである。この間フーバーは、教職に就きながら状況の打開を辛抱強く待っていた。この経緯は尹伊桑やハインツ・ホリガーなどのように、1970年代から一層輝きを増した作曲家たちの歩みとも重なり合う。しかし、フーバーはそのような作曲家たちとは大きく異なり、新しいリズム語法や音空間をたゆむことなく開拓し続け、前衛的な姿勢を突き崩すことがなかった。全盛期と称される1980年代は作曲に方眼紙を用いて、緻密にパルス感覚を設計している。マイケル・フィニスィーは「なんと怪しい作曲語法であろうか」と語ったという。≫（WIKIPEDIA）まさにこの評言どうりに、さまざまな意匠が、マニエリスティックなまでに濃厚に彩られた音響に満ち、こってりとした音響空間を作り上げている。しかし、けっして不自然な、つけたりといったような安易さを感じさせない、むしろ重さとエネルギー、深さを感じさせる見事な多元多型様式とでも言える魅力を持っている。≪宗教的神秘性≫を併せもつ現代のすぐれた骨っぽいマニエリスムといってもいいのだろうか。このドイツＷＥＲＧＯ盤に収録のＢ面『TEMPORA(KONZERT fur Violone und Orchester)』（1969）はそうした意味で聞きものである。さまざまな意匠をもった斬新な音響が深く重く力強く持続力を持って移ろい押し寄せてくる。それに圧倒され印象を胸に刻み込むことだろう。いい作品だ。
今ヘッドフォーンで今日取り上げるアルバム、スイスの現代音楽作曲家クラウス・フーバーklaus huber(1924-)を聞いている。およそ4千円程度の安物であるが、いい音がしている。といっても聞き比べてというより高価なものがどの程度か知らないので、なんとも根拠の無い勝手な自己評価だけれど。ヘッドフォーンはスピーカーで聴いているよりメリハリがあり、集中して聴くことができる。概ねブログを綴るのはヘッドフォーンを聴きながらである。若いときはそれなりに薀蓄をたれ、自分の懐なりの高価なシステムをそろえ聴いていた。垂涎の真空管のマランツとかJBLやタンノイ、DENONのターンテーブルなどとそこまでは懐がゆるさなかったけれど。こうなると家という器、リスニングルームとやらまでいじる羽目になりかねない。ところがである、その薀蓄のシステムは埃をかぶったままで、実際に聞いているのは、大ごみで拾ってきたシステムのものである。それも２セットともそうである。(ということは計３セットということになる、全部違う場所に設置してあるのだけれど)もちろん不具合があっての放擲ごみ処分だったのだろう。ダイヤル接触の不具合や、トゥイーターの片方不具合とか程度のもので、大いに使い堪能させてもらっている。タダのものだから文句は言えない。ノイズをも音楽として聞く現代音楽ファンだ。これで十分だ。さて前置きはこれくらいで本題。今日紹介するクラウス・フーバーは世代的にはブーレーズ、シュトックハウゼンらとおなじであるが、世に出てきたのは比較的遅く７０年代に入ってからである。彼が≪真に自己の個性に開眼し、なおかつ作曲家として認められるようになったのは、1970年代に前衛が停滞して「作家性」が求められる時代に入ってからである。この間フーバーは、教職に就きながら状況の打開を辛抱強く待っていた。この経緯は尹伊桑やハインツ・ホリガーなどのように、1970年代から一層輝きを増した作曲家たちの歩みとも重なり合う。しかし、フーバーはそのような作曲家たちとは大きく異なり、新しいリズム語法や音空間をたゆむことなく開拓し続け、前衛的な姿勢を突き崩すことがなかった。全盛期と称される1980年代は作曲に方眼紙を用いて、緻密にパルス感覚を設計している。マイケル・フィニスィーは「なんと怪しい作曲語法であろうか」と語ったという。≫（WIKIPEDIA）まさにこの評言どうりに、さまざまな意匠が、マニエリスティックなまでに濃厚に彩られた音響に満ち、こってりとした音響空間を作り上げている。しかし、けっして不自然な、つけたりといったような安易さを感じさせない、むしろ重さとエネルギー、深さを感じさせる見事な多元多型様式とでも言える魅力を持っている。≪宗教的神秘性≫を併せもつ現代のすぐれた骨っぽいマニエリスムといってもいいのだろうか。このドイツＷＥＲＧＯ盤に収録のＢ面『TEMPORA(KONZERT fur Violone und Orchester)』（1969）はそうした意味で聞きものである。さまざまな意匠をもった斬新な音響が深く重く力強く持続力を持って移ろい押し寄せてくる。それに圧倒され印象を胸に刻み込むことだろう。いい作品だ。クラウス・フーバー（Klaus Huber,1924 - ）は、スイスの現代音楽の作曲家。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC
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マイケル・フィニスィー （Michael Finnissy, 1946年 - ） は、イギリスの作曲家、ピアニスト
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%B1%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%8B%E3%82%B9%E3%82%A3%E3%83%BC
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ブライアン・ファーニホウ（Brian Ferneyhough, 1943 - ）はイギリスの現代音楽の作曲家。
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http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%8B%E3%83%9B%E3%82%A6
