yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

佐藤允彦『涙のパヴァーヌ』(1978)。ジョン・ダウランドの「涙のパバーヌ(あふれよ、わが涙)」の切なく愁いに満ちた美しい旋律と共に佐藤允彦の類まれなセンス溢れる即興のバリアントと美しいピアニズム。

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John Dowland-Lachrimae Pavan, and galliard

           

イメージ 2先日はイギリスのヘンリー・パーセルHenry Purcell(1659?-1695)、そして今日も同国のジョン・ダウランドJohn Dowland(1563-1626)となにやらバロックづいている。現代音楽、フリージャズをメインとするブログなのだけれど。なぜだか分からないけれど、この時期の音楽、バロック音楽はココロ癒されるのは確かなことで、YOUTUBEであれこれと覗いて遊んでいるとこうなるのはもっともな事といえよう。といっても今日は、日本の誇るべきジャズピアニスト佐藤允彦のアルバムで、これは全く泣かせるアルバムだ。『涙のパヴァーヌ』(1978)。べつにタイトルに「涙」の文字があるということからの連想ではない。素晴らしい佐藤允彦のピアノと泣かせる名曲の旋律、それに感嘆のほかない並外れたインプロヴィゼーションピアノセンス。下に記しているように佐藤允彦のそこそこの数のアルバムを、イメージ 3そのなかにはソロアルバムも多いが、拙ブログに記事を投稿している。そのなかでもこれは出色のアルバムと言えるだろう。一般の音楽ファンにも安心して薦められるアルバムだ。なにせイギリスは16~17世紀の作曲家ジョン・ダウランドの歌い継がれてきた名歌曲「涙のパバーヌPavane(独唱マドリガルmadrigale<あふれよ、わが涙 flow my tears>)」をベースにして、さまざまな機器(ピアノ、シンセサイザーエレクトリック・ピアノハープシコード)を駆使してのパフォーマンスで魅了満喫させてくれているのだ。才人振りを遺憾なく味わせてくれる。今あらためて思ったのだけれど、そのクリアーなピアノタッチには今更ながらに感じ入った。それもインプロでのそれだから驚きだ。録音の優秀さがあるにしろ、それが倍加しての素晴らしい濁りのないピアノ展開なのだ。先にも言ったように、四百年歌い継がれてきた、愁いを帯び哀しげで親しみのある旋律をもつダウランドの「涙のパバーヌPavane」がいっそうその即興ピアノを興にのせるのだ。両面に収録のすべてが良いけれど、なかでもピアノとほかの機器の一人での多重録音のパフォーマンスの6. アンド・フィアー,アンド・グリーフ,アンド・ペイン(and fear ,and grief ,and pain)、7. レット・ミー・リヴ・フォー・ローン(let me live for lorn)などことのほか素晴らしい。もちろんジャズセンスがその演奏のベースになっているのだけれど、もうこの才人クラスになるとジャンルなど超越してしまっている。「音楽」として素晴らしい、の言葉に尽きる。「素晴らしい」の連発で恥ずかしいのだけれど・・・この佐藤允彦のピアノは是非機会を見つけて聴いていただきたいものだ。ダウランドの「涙のパバーヌPavane(<あふれよ、わが涙flow my tears>)」の愁いのある泣けるほど切なく美しい旋律と共に類まれなセンス溢れる即興のバリアントを魅せる佐藤允彦の美しいピアニズムを堪能満喫できるこのアルバムを薦めたく思う。



佐藤允彦、マイブログ投稿記事