yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

スティーヴ・レイシー&アンドレア・センタッツオ、デュオ『CLANGS』(1976)。スティーヴ・レイシーはいつになく破調し、遊び、彼なりに珍しくアヴァンギャルドしてソプラノサックスを吹いている。

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イメージ 2きょう取り上げるスティーヴ・レイシー。地味という印象があるせいか所蔵アルバムはそこそこあるのだけれど、なかなか登場の機会をもてなかった。いつまでも棚でホコリをかぶせておくわけにはいかず、ということで取りあえずはレコードジャケットデザインがいいということと、デュオパフォーマンスの相手が(イタリア生まれでアメリカ在住)の先鋭なパーカッショニストアンドレア・センタッツオANDREA CENTAZZOであるということで手に取ってみた。アルバム情報仕入れのためネットを覗いていたところ、復刻CD再発盤のレヴューに≪70年代後半にパーカッショニスト/ミニマル系現代音楽作曲家のANDREA CENTAZZOがプロデューサーCARLA LUGLIと共に設立し、即興音楽や現代音楽作品をリリースしたレーベルICTUS。1984年に資金難のために消滅した同レーベルが復活。≫とあった。知る範囲、つまりは拙ブログに登場しているアルバムに限っては、フリー系のミュージシャンおよび現代音楽畑の即興演奏グループとのコラボレーションだったから、≪ミニマル系現代音楽作曲家≫とされていても何らおかしくもないのだけれど、はじめって知った次第。ちなみに、このアンドレア・センタッツオが参加したアルバムで、拙ブログに投稿した記事は以下の如くだ。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/38804240.html 近藤等則、ヘンリー・カイザー、アンドレア・センタッツオのフリーインプロヴィゼーション・デュオアルバム。『プロトコル・Protocol』(1978)

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/25300295.html MEVのALVIN CURRAN参加する音なひの気配に感応する即興演奏


さて、このアルバムでは、スティーヴ・レイシーはいつになく破調し遊び彼なりに珍しくアヴァンギャルドしてソプラノサックスを吹いている。とりわけB面ではその印象が強い。ポケットシンセサイザー(CRACK BOX)を使用してのパフォーマンスは興味深いものがあった。こうなるとやはりセンタッツオのほうに上手く引きずられたといった感じで、現代音楽系のパフォーマンスとなっている。これが意外性もあって面白く聴けたのだった。というもののいつもの地味なサックスパフォーマンスがないでもないけれど・・・。
ポケットシンセサイザーを持ってちょっと冒険したいつもと違うスティーヴ・レイシーと括ってこの稿擱えよう。
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『CLANGS』(1976)
ANDREA CENTAZZO(per,ds,vo), STEVE LACY(ss,bird calls,pocket synth)

1. THE OWL
2. TRACKS
3. DOME
4. THE NEW MOON
5. TORMENTS
6. DUCKS


参考――
http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/56113143.html デレク・ベイリースティーヴ・レイシーのデュオ『company4』(1976)。デレクの何もなさへの自己放擲、求めることのない、その凄まじいプロレタリアート・無産者としての精神の強靭には驚くばかりだ。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/33383698.html 小杉武久スティーヴ・レイシー高橋悠治のフリーパフォーマンス 『DISTANT VOICES』 (1975)