yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

セルジュ・ニグ「Visages d'Axël 」(1967)ほか。アンリ・デュティユーと同じすぐれた中庸が、ここにも居たといった印象だ。保守といってもなまなかでないのがやはり(フランス音楽の)伝統か。

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イメージ 2先日、野平一郎の作品集『錯乱のテクスチュア』を取り上げた際、【東京芸術大学附属音楽高等学校、同大学、大学院修士課程を経て、1978年、フランス政府給費留学生としてパリ国立高等音楽院に学ぶ。この間作曲を間宮芳生、永冨正之、ベッツイー・ジョラス、セルジュ・ニッグ、ピアノ及びピアノ伴奏法を村井貞子、堀江孝子、高良芳枝、アンリエット・ピュイグ=ロジェ、ジャン・ケルネルの各氏に師事。卒業後は、ダルムシュタットシエナ、エクサン・プロヴァンスの各講習会でリゲティ、ファーニホゥ、ドナトーニと、またイティネレールやIRCAMに於いて、電子音響音楽やコンピュータ音楽を学ぶ。】
という華々しい修学歴紹介のなかに、パリにての留学中、作曲をセルジュ・ニグSerge Nigg, 1924 - 2008)に師事とあるのを目にし、そうそうこの作曲家の作品の収められたアルバムがあったはずと、レコード棚(実は本棚)を探してみたところ確かに記憶に間違いなくあった。

ちなみに、同世代作曲家にはピエール・ブーレーズPierre Boulez, 1925 - )がおり、
前の世代にはアンリ・デュティユー(Henri Dutilleux 1916 - )がおり、
またオリヴィエ・メシアン(Olivier-Eugène-Prosper-Charles Messiaen, 1908 - 1992)がいる。
作風は、保守的であるけれど、この精緻なオーケストレーションはまちがいなく一級品だ。先の野平一郎がどうした理由でこの作曲家セルジュ・ニグ、および女性作曲家ベッツイー・ジョラスに作曲を師事することとなったのかは、分からないけれど、このフランスの良質の作曲骨法を学び、選択したことは現代音楽の王道を歩むよきスタートであったように思える。美しく見事な音色感覚と色彩の豊かさ、和声造形の秀抜。アンリ・デュティユーと同じすぐれた中庸が、ここにも居たといった印象だ。保守といってもなまなかでないのがやはり(フランス音楽の)伝統か。自立せる保守。今日は良いものを聴いた。もう一人はジャン・ルイ・マルチネJean-Louis Martinet(1912‐)。この作曲家もいい意味で伝統が起っていると言った印象だ。



セルジュ・ニグserge nigg 「Visages d'Axël」(1967)

ジャン・ルイ・マルチネ Jean-Louis Martinet「Mouvement Symphonique N.1 (pour Orchestre a Cordes)」(1953)
「Promethee (Fragments Symphoniques)」(1947)



アンリ・デュティユー関連投稿記事――

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/57507584.html アンリ・デュティユー『交響曲第2番≪ル・ドゥーブル』』(1959)ほか。緻密堅固、重厚壮大にオーケストレーションしつつ流麗なさま、まことに見事。豊麗な音色、響きに酔い、惚れる。


Dutilleux : "Metaboles" 1/2