yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

ケント・カーター『Solo With Claude Bernard』(1976)。ジャズイディオムに凝り固まらず、いい意味で好きなように、やりたいようにプレイしていると言った風情が好ましい。

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ほぼひと月前に≪ケント・カーター『BEAUVAIS CATHEDRAL』(1976)。なまじの現代音楽よりおもしろい。ともかく音楽を愉しみ、かつ生きているといった、そのさまが伝わって来るようなのだ。≫と寸評し投稿したけれど、なにせ、動画音源紹介の伴わない言葉だけの投稿紹介なので、気が乗らずもどかしい思いのまま擱いた。今回も同じ気分での紹介となりそうだ。
数多くのセッションに加わり、世に出されたパフォーマンス・ドキュメントは数え切れないほど多くあるはずなのだけれど。前回の投稿で≪アメリカの、というより早くからヨーロッパを舞台にフリージャズ系のベーシストとして活躍してきた、ケント・カーターkent carter(1939-)のアルバム『BEAUVAIS CATHEDRAL』(1976)。共演者としては、デレク・ベイリーエヴァン・パーカー、ジョン・スティーブンスやその他ほとんどのヨーロッパの精鋭達と相まみえ、多くのパフォーマンスドキュメントを残している。加古隆もパリ時代にユニットを組んで活動しており、また、わが国のトリオレーベルでアルバムリリースしている。とりわけスティーヴ・レイシーとの長期に亘る共演活動によって、一層そのフリーへのスタンスを明示しているといえようか。ほとんどが、フリーインプロであり、非商業主義的な演奏活動に身をおいていた所為か、その認知は一般化されていないようだ。だが、この人は、本物だ≫
と大よその事柄は記したので・・・、これ以上の言葉を紡ぎだせそうにない。動画音源があれば言葉など要らないのだけれど。今日取り上げる『Solo With Claude Bernard』(1976)も、先のソロアルバムと同時期に、それも似たようなコンセプト、手法にて制作された、ベース、チェロのソロ、およびサックスのクロード・ベルナールClaude Bernardとのデュオアルバムだ。前もって用意された自身の演奏(ピアノなども使われている)や、遅延させたそれらとのインタープレイといった手法。ラジオを対者として使っている曲もある。
先のアルバム『BEAUVAIS CATHEDRAL』も自前の機器を使っての自宅でのパフォーマンス・ドキュメントだったけれど、今回もそれらは変わりない。いい意味で好きなように、やりたいようにパフォーマンスしていると言った風情が、ことのほか好ましい。
ベース、チェロのソロと聞いて、地味では、と言った思い込みは見事にはぐらかされることだろう。決して退屈はさせない。音楽への、オープンで伸びやかなそのスタンスはいい成果となってアルバムに結実している。ともかく、ジャズイディオムに凝り固まっていない柔軟性が(私にとっても)好ましい。



ケント・カーター Kent Carter『Solo With Claude Bernard』(1976)

Tracklist:
A1.Beginning N°1 (Bass + Cello)
A2.Interplay N°2 (Piano, Cello + Bass)
A3.Round N°1 (4 Cellos)
A4.Quarted N°1 (2 Alto Aax, 2 Cellos)
A5.Ballad For Michala (Cello + Bass)
B1.Playtime N°2 (Radio, Cello + Bass)
B2.Song For Cannonball (Piano, Bass, Flute + Melodica)
B3.Dance For Cello And Bass N°1
B4.Orchestra N°1 Prayer For Peace (3 Cellos, 2 Alto Sax, Bass)

Credits:
Bass, Cello, Piano, Melodica - Kent Carter
Flute - Michala Marcus (tracks: B2)
Saxophone - Claude Bernard (tracks: A4, B4)

Notes:
Recorded at home, Château de Maignelay, Oct 75 to Sep 76 on a Revox + a Uher recorder.

A1 : the beginning of this session,
A2 : A chamber situation, For my friend Michael Smith.
A3 : intended for 4 cellos
A4 : First meeting,
A5 : a sort of Dance. For my wife, Michala Marcus,
B1 : A negative / B positive for Steve Lacy who inspired this piece.
B2 : dedicated to the late Cannonbal Adderly,
B3 : variations on a theme
B4 : dedicated to my father

B1, B2 and B4 all make extensive use of reverb and delay, although this is not mentioned on the cover.