ダンツィ管楽五重奏団『シュトックハウゼンほか』。構造が放つ無機的な冷たい叙情は言いようもなくすばらしい。現代音楽を讃する者にとっては、厳しく純で比類なく美しい世界だったと言い切っておこう。

Karlheinz Stockhausen: "Zeitmasze" (1955-56) for five woodwinds.

　　　　　　　　　　　　　　

「音楽とは時間の組織された状態にほかならない。」「時間のなかに音があるのではない。音の中に時間があるのだ。」「音そのものは時間の複合体である。」とは、シュトックハウゼンのことば。＜Zeit＞とは時間の意だったろうか。時間の集合体・構造としての音楽。かような哲学が奏でる戦直後のポスト・ウェーベルンのトータル・セリエルな現代音楽は冷たい叙情で光彩を放っている。すばらしい精華だった。と、あえて断言しよう。構造として空間に放たれた冷たく光放つ音の結晶体。この無機的な冷たい叙情は言いようもなくすばらしい。現代音楽を讃する者にとっては、厳しく純で比類なく美しい世界だったと言い切っておこう。

「月のいとあかきに、川を渡れば、牛のあゆむままに、水晶などのわれたるやうに、水の散りたるこそをかしけれ。」（枕草子・二百三十二段、芳賀徹「詩歌の森へ」中公新書より）

ダンツィ管楽五重奏団『シュトックハウゼンほか』

Malipiero* / Fortner* / Henze* / Stockhausen* / Becker* - Danzi-Quintett* / Heinz Holliger – Zeitgenössische Musik Für Bläser

Tracklist：
A1. Karlheinz Stockhausen –
Nr. 5: Zeitmaße 13:15
A2. Günther Becker –
Serpentinata 12:30
B1. Riccardo Malipiero –
Musica Da Camara 8:15
B2. Wolfgang Fortner –
Fünf Bagatellen 7:00
B3. Hans Werner Henze –
Quintett 11:05

Credits：
Bassoon – Brian Pollard
Clarinet – Piet Honingh
English Horn – Heinz Holliger (tracks: B1)
Ensemble – Danzi-Quintett*
Flute – Frans Vester
Horn – Adriaan Van Woudenberg
Oboe – Koen Van Slogteren

Wolfgang Fortner: Fünf Bagatellen (1960)

Riccardo Malipiero: Musica da camera (1959)
http://www.youtube.com/watch?v=dSb3YS4-Lhg&feature=related

Gunther Becker - Serpentinata (1968)
http://www.youtube.com/watch?v=0ZTbuvw8L1s